緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

人生の節目を作ることの意味

2010年08月13日 | 家族

長男が1歳になったころ、仕事に復帰も出来ず、悶々と過ごしていました。

そのころ、漠然と、
20年程して子供達が大学に入ったら、家族全員でイタリアに行こう・・
そう、想っていました。

なぜ、20年後なのか、
なぜ、イタリアなのか、
ちょっとだけ思い当たる節はあるのですが、
本当に漠然と・・
でした。

今年、次男が大学に入って、
あのころから20年。

急に思い立ちました。

家族4人で、イタリアに行こう・・




イタリア語は、ほとんどできない家族ですから、
結構、珍道中的な面もありました。
日常でも、24時間ずっと共にするなどと言うことは
もう、無くなっていました。

子供達は、親以上に英語が話せて、
感心することもシバシバでした。



バールのサンドイッチやパニーニを見ながら、
あれやこれやと楽しそうに話しながら
注文したり・・・




育児に、仕事に格闘してきた20年あまり・・

今後、今の生活が何処かで一変しても、
多分、この節目までは、よしと出来そうな・・
そんな気がしました。

中世の面影を残した街並みを
家族で歩きながら、
節目を作ることの大切さを実感しました。




チームスタッフにも、
学会の方々にも、
沢山の方に応援して頂き、
かなった旅行でもありました。







10年ほど前、関わらせて頂いた患者さんの小学生の娘さんは
しえなさんとおっしゃいました。
ご夫婦で旅行した先の街に惹かれて
そう付けられたのだとお話くださいました。

患者さんのがんによって、それは、それは、激しい時間を過ごされたご家族でした。

そんな方々が、大切な娘さんに付けられた名前の街はどんな街だったのだろう・・と
20年前の思いとは別に、
イタリアに行くことがあれば、
一度、立ち寄ってみたい街でした。

シエナ・・




中世の面影がそのまま残っていて、
世界遺産に登録されました。

細い石畳の路地がくねくねと続き、
坂も多く、車は許可されたもの以外は入ってくることはできません。
日が暮れると、街の中心の競馬もできる広場に
沢山の人達が集まってきて、
食事を楽しみながら、時を過ごします。

フィレンツェとの戦いの歴史を持つ城壁に囲まれた街の中で
少々のことは気にせず、明るく、誠実な人々に出会いました。

きっと、患者さんご夫婦も同じ道を歩き、
同じ風景をみたのだろうなあと思いました。



人生の一節を辿り、一旦終える作業をすることを与えてくださった多くの方々と、
人生の過ごし方を教えてくれた沢山の患者さん達への感謝とともに
20年の一節を共にしてくれた家族に心から感謝しています。

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4 コメント

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Unknown (Missy)
2010-08-15 14:43:03
ステキな旅行ですね。20年前に漠然と考えていたことを実行するなんて!

文面からも素敵な先生と家族が目に浮かびます。
返信する
同窓会で (マキ)
2010-08-15 21:01:27
えっちゃん 元気そうで何よりです。
昨日同窓会で一気に34年前にタイムスリップしました。皆元気だったよ!次は5年後開催となるようですのでその時まで元気でね。今は歌舞伎座の近くで単身赴任中です。
返信する
素敵です。 (若紫)
2010-08-15 22:26:06
先生は、本当に誠実に生きていらっしゃったんでしょうね。
このご旅行に行かれるについては、いろいろ無理もなさったとは思いますが、こんな素敵な旅行で人生の節目を作ることが出来て、本当によかったですね。
・・・読んでいてなぜか涙が出て来てしまいました。

節目を作られて、これからまたいろんな困難にも立ち向かわれるのでしょうけど、どうぞご無理をなさらないで下さいね。
私もいつか先生の真似をして、こんな旅行に行きたいです!
そのためには、もうちょっと頑張らなくては。
返信する
コメントありがとうございます (aruga)
2010-08-17 22:53:18
Missyさん
暖かいメッセージをありがとうございます。
嬉しいです。

マキさん
出席したかったです~。でも、ちょっと遠すぎました・・歌舞伎座近くって、銀座ですか??

若紫さん
つたないブロクにお付き合いくださり、そして、同じ気持ちに近づいてくださるなんて、本当に胸に響きます。二重の嬉しさです!
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