緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

知っているようで知らない 紫尿バック症候群:Purple urine bag syndorome

2020年10月11日 | 医療

医療従事者でしたら
少なからず経験があるのではないでしょうか。



膀胱バルーンカテーテル留置していて、
浮遊物が多くなって、
すぐにカテーテルが閉塞してしまうこと。

いわゆる・・
「カテ閉塞」

そのうち、管の周囲が色づいて来たりして。



特に、長期留置になりやすい
在宅医療や介護施設で
問題になりやすい傾向にあります。





Purple urine bag syndorome
紫尿バック症候群

典型的なものは
写真のような鮮やかな紫になります。

これは、単にバルーンで膀胱炎を起こて
浮遊物が多くなり詰まってしまう
というものではなく、

重度の便秘が合併していて
腸内細菌により血液を介して尿が色づき、
尿中浮遊物が紫になってしまうものです。

これをただカテーテル交換だけやっていてもよくなりません。
抗生剤をつかっただけでもすぐに再燃してしまいます。

尿路感染症と便秘の治療、
両方を丁寧に行うと
バルーン交換は1か月以上
開けられるようになってきます。



一見関係なさそうな
膀胱炎と便秘。
こんなにも密接なのですねえ・・




最近、そんな事例があったので、
再掲です。

*****************
2013-01-19 の記事から
「PUBS」

PUBSと聞いて、何の事かピンと来る方は、
すごいなあって思います。

Purple urine bag syndorome
紫尿バック症候群
の略です。

尿バックが紫にそまって、
浮遊物が多く、
留置カテーテルが詰まりやすくなったり、
血尿を見たりします。

なぜ、尿バックが紫に染まるのか・・・・




原因は、便秘と尿路感染です!





腸の問題が、なぜ、尿に・・と思われるでしょう。



便秘(腸内容物の停滞)
   ↓
便中トリプトファン
   ↓←便秘で腸内細菌 ↑
   ↓  分解
インドール ↑
   ↓
インジカン ↑
   ↓
尿中インジカン ↑
   ↓            
   ↓←ホスファターゼ産生←尿中細菌
   ↓  加水分解
   ↓
インジルビン(赤色)
インジコ(青色)
   ↓
インジルビンがプラスチックに溶け込む
その上にインジコが付着
   ↓
紫に染まる



このような場合、
数日でカテーテルが浮遊物で閉塞してしまうことがあります。

尿路感染に対する抗生剤の適応を検討しながら、
便秘のコントロールを行うことも大切なのです。

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