最近、気になるケース・・・
依頼の要点は、
オキシコドン徐放錠 10㎎ 分2で開始したが、
まったく効果を認めないというもの。
痛みに薬剤量が足りなくても
オピオイドナイーブ(オピオイド未導入)であれば
少量の開始で、若干の改善は認めるものです。
患者さんのベッドサイドに行き、
問診、身体所見を取ります。
いつ頃から痛みましたか?
2か月前からです。
近くに整形外科に行って、
骨が溶けてるって言われて、
痛み止めをもらって治りました。
その後、転んでからが大変でした。
結構強い痛みどめだと言われてたんですけど、
4回しかダメって言われて・・
ピン!ときました。
その痛み止めって、どんな痛み止めでしたか?
色と形を教えてください。
黄色くて、楕円で・・
ああ・・やっぱり・・・
トラムセットという薬でした。
非がん疼痛に投与できる
トラマドールというオピオイド
とアセトアミノフェンの合剤です。
オピオイドですが、麻薬指定ではありません。
患者さんの話は、骨粗しょう症の診断のもと、
非がん疼痛に対し処方できるオピオイドが処方されていたものでした。
その後、がんと診断され、
がんの病歴というより
疼痛の病歴として
聴取されていなかったのだと推測しました。
1錠あたり
トラマドール 37.5㎎
アセトアミノフェン 325㎎
含有しています。
これが4錠ですから、
トラマドール 150㎎
アセトアミノフェン 1300㎎
トラマドール 100㎎= 経口モルヒネ 20㎎
ですから
トラマドール 150㎎= 経口モルヒネ 30㎎
= 経口オキシコドン 20㎎
オキシコドン徐放錠にして20㎎相当のトラムセットを内服していて、
入院したとたんに、トラムセットは内服なしとなり、
オキシコドン徐放錠が10㎎/日となったわけです。
それは、効かないでしょう・・
結局、10㎎/日ということは減量になっているわけですから。
他のケースでは、
NSAIDsもアセトアミノフェンも併用しておらず、
オキシコドン単剤の減量になり、
ますます痛みは強くなっていたケースもありました。
疼痛をもった患者さんの依頼があったら、
病歴をしっかり聞き、
麻薬は飲んだことがないと患者さんがおっしゃっても、
非麻薬のオピオイドは存在することを念頭に、
薬剤の形状を知っておき、
薬剤名を患者さんが覚えていなくても色や形で予想が立てられるようにし、
問い合わせなどで確認していくことが大切です。
様々な薬剤が発売されると、
病態も複雑になります。
患者さんも、お薬手帳を是非持って、
ご自分が使っている薬の名前は知っておくとよりよいと思いました。
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お薬手帳は、病歴や飲み合わせを診ていただく時に便利だと思っていましたが、癌の痛みと闘う時のお薬は、かなり強いので、お薬手帳が活躍しますね。
。
勉強になりました。
コメントありがとうございました!!