緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

病に飲み込まれることなく人生を生き抜くということ

2006年04月07日 | 医療

絵門ゆう子さん最後の別れ…告別式に800人参列 (夕刊フジ) - goo ニュース
朝日新聞朝刊の連載はいつも楽しみにしていた。
患者さん達の心を代弁してくれていたり、ちょっとした医療者の暖かな一言や辛辣な一言などを読むと、はっとさせられた。病気に飲み込まれそうになりながら、そこから這い出て、自分を取り戻し、最期は病気のはるか上から自分を見つめていた絵門さん。死ぬということは、負けではないことを示してくれたように思う。

幸せとはもともとそうした性質はないものだと思う。受け取り手が幸せだと思えば、幸せであり、不幸だとおもえば不幸である。

80代の方が亡くなる3日前、傾眠の中ふと意識が戻り、「がんになってよかった」と呟かれた。
「家族が皆集まり、楽しい時が過ごせた。妻に出会って50数年、ちょっと飽きたかな。しばらくのお別れ、また、再会する」
疾病は不幸なことと多くの人は思うが、この方はそれをも幸せなものと捉えていた。死別も悲しいが、ちょっと旅に出てくると。

人には最期が必ずある。その時、幸せだったと思えたならば、死を乗り越えたことになるのかもしれない・・


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