プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

菅か小沢か  甲乙いずれか付けがたいではなく丙丁付けがたい

2010-09-13 19:17:28 | 政治経済
民主党代表選はあす14日、投開票を迎える。財界、アメリカしたがって大手マスコミの支援を受けて、新聞の世論調査では菅首相が先行しており、小沢前幹事長が追う展開だ。一方、ウェブサイトの調査では小沢氏の支持が高い。1日から投票を始めた「YAHOO!JAPAN」では9日午後3時の累計で、小沢氏が59%、首相28%。「Infoseek楽天」では、小沢氏の93%に対し、菅首相は6%だった。
こうした結果について「YAHOO!JAPAN」は「ネットの投票者は自らID(本人証明)を登録して政治コーナーに入り選択する。政治に積極的にかかわりたい人たちの声だ」と分析しているという(ZAKZAK2010.09.10)。
昨年の総選挙で政権交代を実現したわれわれの視点からみれば、菅、小沢両氏いずれにも国民が期待する新しい政治の旗はない。そういう意味で、「甲乙いずれか付けがたいではなく丙丁付けがたい」(渡辺治・一橋大名誉教授)のレベルの話である。大手マスコミの菅か小沢かに煽られて、ここしばらく、新しい政治を求める運動の側が「ちょっと観客状態になっていた」(渡辺治・一橋大名誉教授)ことこそ問題である。

今回の民主党代表選。参院選で惨敗しながら、菅首相はなぜ強気なのか。「政治とカネ」の問題を抱え、古くさい政治手法や親しみにくいキャラなどで国民の間で不人気なのを百も承知で、なぜ小沢氏は立ったのか。
自民党時代なら参院選であれだけ惨敗しながら、辞任しない菅首相はむしろ異常である。菅首相が強気なのは、言うまでもなくアメリカ、財界の全面支援があるからである。
鳩山政権の後を承けたズル菅政権は、小沢、鳩山代表と2段階で保守二大政党の枠をはみ出したことにたいする支配層の怒りを鎮め、「日米同盟深化」と「構造改革路線」への復帰・推進を掲げた。民主党政権として初めて恥ずかしげもなく、「法人税引き下げ」、消費税増税を打ち出した。しかも「反小沢」といいながら、保守二大政党制と国会改革という小沢の悪いところをちゃっかりパクリ衆院比例定数80、参院定数40削減をいうズル賢さである。
支配層にとって菅氏はまことにウイやつである。大手マスコミも足並みをそろえてバラマキからの脱却、財政健全化と成長、日米同盟「深化」を絶賛・鼓舞した。

それでは小沢氏はなぜ立ったのか。小沢氏は情勢の風向きを読むのに長けたところがある。小泉構造改革以来の地方の疲弊、貧困と格差の拡大にたいする国民の怨嗟、米軍再編に対する沖縄県民の怒りの空気を敏感に読み取り、2007年マニフェストで従来の急進的構造改革推進の民主党を見事に変身させ、2007年参院選での民主党の勝利に導いた。「政治とカネ」の問題で代表、幹事長辞任を余儀なくされたが、今度の参院選での菅政権に対する国民の不信―構造改革復帰・消費税引き上げ(法人税引き下げ)に対する不信―の空気を読み取り、昨年総選挙でのマニフェストの原点に戻れと地方へのバラマキ復活で勝負をかけた
また小沢氏は、どこまで本気かわからないが、「アメリカとの対等の関係」「米軍のプレゼンスは第7艦隊だけでいい」そして「辺野古は無理、もう一度話し合う」などと発言している。菅は気にならないけど、小沢は気になる、というのが財界、アメリカの率直な気持ちだろう。

野党時代の代表選挙と違って、現職首相を総裁選で引きずり下ろすということは、内閣不信任を突きつけたのと同じ意味を持つ。菅内閣に不信任を示した小沢派の人びと菅派の人びとが、党内で一枚岩になることは難しいだろう。菅、小沢氏のどちらが勝っても、党内の亀裂が深まっていく事態は避けられそうにない
菅氏が勝った場合、最初のハードルとなるのが、内閣改造・党幹部人事だ。最大の問題は小沢氏本人や小沢氏支持グループの処遇だ。代表選後も発言力を確保するであろう小沢氏を棚上げすれば、離党など党分裂をちらつかせ、「党内抵抗勢力」ぶりを明確にしていくのは必至である。
小沢氏が勝利した場合はどうか。ねじれ国会を打開するため、自民党、公明党、みんなの党などとの連立協議、議員の引き抜きといった工作を仕掛けるのは間違いないだろう(安藤 毅「民主党瓦解へのカウントダウン」NBonline2010年9月13日)。

このままだと、部分連合、大連立で日米同盟強化、構造改革、福祉切り捨てが加速する虞がおおいにある。民主党政権の新たな攻勢にいかに立ち向かうか。新しい政治を求める運動の側が「観客状態」になっている場合ではない。

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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (konishi)
2010-09-14 16:13:15
突然すいません!

『2010年国際ジュゴン年に~基地ではなく ジュゴン保護区を』の署名を、集めています。どうぞ、ご協力よろしくお願いします。

☆署名用紙の署名とインターネット署名(日本語・英語)があります。
 できれば全てにご協力お願いします(重複OKです)。
 *インターネット署名(日本語版)
  http://www.shomei.tv/project-1384.html
 *インターネット署名(英語版)
 http://www.thepetitionsite.com/1/no-to-military-baseyes-to-dugong-protection-area
 *署名用紙のPDFはこちら
  http://www.sdcc.jp/iucn/2009-2010-sign.pdf
 *署名の詳細はこちら
  http://www.sdcc.jp/iucn/2009-2010-petision.html
  
もしよろしければ、この署名の拡散もお願いします!
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