プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

民主代表 菅氏が再選  菅反動政権にいかに立ち向かうか

2010-09-14 21:47:09 | 政治経済
民主党代表選は財界、アメリカ、大手マスコミの全面支援を受けた菅直人首相が再選された。本欄でも何度か触れてきたが、菅政権は財界とアメリカの熱い期待と圧力を受けて、鳩山政権の動揺を保守の枠組みに引き戻す確信的反動政権として登場した。だから、大手マスコミは小沢のネガティブキャンペーンをはってまで菅を応援したのだ。
菅首相の続投で日米同盟、構造改革、地域はどうなるのか。菅反動政権にいかに立ち向かうか。昨年の総選挙で政権交代を成し遂げた私たちは、政治革新の歩みを第二歩に進めなければならない。

菅首相は近いうちに内閣改造と党役員人事に踏み切ることになるだろうが、小沢派の処遇が最大の焦点になる。参院で与党が過半数を下回る「ねじれ国会」を乗り切る展望が開けていない上に、党内には小沢前幹事長ら反主流派を抱える。私たちの運動次第で、財界、アメリカいいなりを阻止し、局面を打開できる可能性はある。そのためには、菅政権の施策の真の狙いを見抜き、大手マスコミの世論操作に騙されないしっかりとした学習が必要だ。

菅首相にとって当面の最優先の課題は、円高・デフレ対応の景気対策だ。首相は14日午後、民主党代表選で国会議員投票前に最後の政見演説を行い、緊急に解決すべき問題として「経済の建て直しと雇用の安心を確立すること」をあげ、課題克服に向けて「新成長戦略」を強力に推進すると訴えた。
菅政権の「新成長戦略」は、景気低迷や円高対策に本当に有効か。

菅首相は、9日の「新成長戦略実現会議」の初会合で、法人実効税率引き下げの検討を求めた。雇用破壊や仕事の激減に苦しむ中小企業の危機的状況を打開することよりも、財界・大企業寄りの首相の姿勢を端的に示すものだ。10日に決定した追加経済対策には、都市再生・住宅、環境・エネルギー、医療・介護、観光振興などの5分野で八十数項目の規制「改革」案が盛り込まれたが、なんのことはない経済対策の名による規制緩和で儲けのチャンスを提供するというものだ。

例えば、医療。「新成長戦略」では、医療を産業として強化することを打ち出し、外国人患者の受け入れ拡大をその柱とする。外国人は保険外診療なので、富裕層に高度医療を提供することで儲けようというもの。医師・看護師不足の中で保険外の稼げる医療に力点を置いて何をしようというのか。
保育の分野では、「幼保一体化」を含む法案を来年の通常国会に提出するという。市町村に保育の実施義務がある現在の保育制度を廃止し、保護者が市場で保育サービスを買う「新システム」で、株式会社などの参入を認め、儲けを保育以外に転用できることを認めるという。

「『雇用』を機軸とした経済成長をめざす」とうたう菅政権の「経済対策」。非正規労働者の割合が3割を超え、サラリーマンの所得の落ち込みが、デフレと景気低迷を長引かせている。最低賃金の大幅な引き上げや労働者派遣法の抜本改正が急務だが、財界の全面支援を受ける菅政権が「自主的」にそのような方向に踏み出すはずもない。
財界いいなりに反対する国民の運動がなければ、法人税引き下げ、消費税引き上げだけが確実に進むだろう。

軍事大国化、改憲はどうなるか。首相の私的諮問機関である「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」は、すでに年内策定を予定する新「防衛計画の大綱」に向けた報告書を提出している。基盤的防衛力構想を廃棄し、日米共同作戦態勢強化、武器輸出禁止3原則見直し、PKOの武器使用基準の見直しなどを主張している。これまでの憲法にもとづく自衛隊と日本の軍事活動に対する制約を正面から突き崩す提言は重大だ。自民党がその気になれば、日米同盟強化、解釈改憲が一気に進む虞れがある。

情勢には予断を許さない厳しさがある。しかし、政権交代と民主党の変貌を促したのは、反貧困の運動、医療、介護、保育、教育などのしわ寄せを許さないさまざまな市民運動であった。米軍普天間基地の名護市辺野古への「移設」問題で全国的にも注目された名護市議選は、「移設」反対派が圧勝する結果となった。政治革新を第二歩に進めることができるかどうかは、私たちの運動の力にかかっているのだ

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。