プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「国民益」を掲げて「財界益」を押し付ける「朝日新聞」  進むジャーナリズムの自壊現象

2011-02-23 18:51:41 | 政治経済

今朝(2/23)の「朝日新聞社説」をみて驚いた。今年に入りマスメディアの自壊現象は激しさを増しているが、ここまで露骨に財界・アメリカの宣伝機関に成り下がるとは・・!「朝日」社説の一本目は、「予算関連法案―国民益を考え、歩み寄れ」であり、二本目は「小沢氏処分―真の区切りとするために」である。日本経団連の米倉会長が「給料泥棒のようなものだ」と怒っていますよ、意地を張らずに予算を通すべきだ。マイケル・グリーンら米国のジャパン・ハンドラーズの皆さんが小沢氏に怒りを抱いていますよ。この際、小沢氏の息の根を止めなさい。そして予算を通すことは、「国民益」だとまで言う。大東亜共栄圏を掲げてアジア侵略を煽ったのとまったく同じ構図である

 

『朝日新聞の中国侵略』(山本武利著)という新刊が文藝春秋社から出版されるという。先の大戦中、朝日新聞社の経営陣が次第に軍と足並みをそろえ日刊邦字紙「大陸新報」や中国新聞協会というダミーを使って大陸制覇の野心を実行に移していたと指摘する内容で、半世紀の研究と新資料を駆使して、メディア史研究の第一人者が朝日新聞社に戦争責任と説明責任を問う、という触込みである。出版社が文藝春秋社なので、右からの「朝日」批判かも知れない。

戦前の日本軍国主義が朝鮮半島から中国へ侵略を拡大していくとき、当時の『朝日新聞』や『毎日新聞』が、「暴支膺懲(ようちょう・横暴なシナを懲らしめよ)」といって世論を扇動し、破滅的な戦争に突入させていったことはよく知られた歴史的事実である。マスコミは世論を反映しているかのように見せかけるが、実際にはときの支配者に都合のよい世論をつくりあげ、人民のなかに流れる真実の声をかき消すうえできわめて犯罪的な役割を果たしてきた。日本資本主義が閉塞・衰退状態に入ったいま、日本のマスコミは同じ歴史的過ちを繰り返そうとしている。

 


全国5紙は1月15日、菅第2次改造内閣が発足したとき、「懸案に党派を超えて取り組め」(「読売」)「結果出していくしかない」(「朝日」)「政権賭する覚悟を示せ」(「毎日」)など、菅首相が二つの焦点課題とする消費税増税環太平洋連携協定(TPP)参加の実行を迫る社説をいっせいに掲げた。国民世論を二分する大問題で、財界・アメリカと結託する菅政権を全面支援する世論工作はまさしく異様な言論状況と言っていい。「朝日」は、「菅氏が掲げる二つに力を注ぐ『2点突破型』にかじを切った」と評価。「今度こそ金看板の『政治主導』に力を入れ、改革を現実のものとしなければならない」と“泥船”菅にエールを送った。

今朝の「朝日社説」でも「野党が政権を追い込むことを優先するあまり、国会を機能不全に陥れることは、そうした高い代償を国民に払わせる結果を生む。今それだけの大義があるとは、到底思えない。」だから、「国民生活を人質に取るような言動は慎み、歩み寄って関連法案を通すべきだ、と。」
あたかも、世論を反映しているかのように見せかけるが、実際にはときの支配者に都合のよい世論をつくりあげ、人民のなかに流れる真実の声をかき消すうえできわめて犯罪的な役割を果たしているのだ。なぜなら、通せと迫る予算関連法案は、決して“国民益”を反映するものでなくて、“財界益”を実現するものだからだ。

だからこそ、焦った米倉会長は、言ってはならいことを言ってしまったのだ。自分たちの子飼いの与野党の議員を「給料泥棒のようなものだ」と。給料泥棒の親玉が、『それを言っちゃぁおしまいよ!

今の事態は、「国民益」と「財界益」の深刻な対立が、国民のなかでの閉塞感を生み出し、国民世論の前で、自民党などの野党も安易に“泥船”菅に乗ることができず、政権が行き詰まっているということだ。そのなかで「ともかくこの予算を通して」ということは通用しない
今度の予算案は、「財政が大変」とか「社会保障の財源が必要」といって(菅政権が)実際に真っ先にやったのは1兆5千億円の法人税減税、証券優遇税制の2年延長。大企業・大資産家の減税をやる一方で、社会保障や暮らしの予算は細るばかり。それから米軍には「思いやり予算」を5年間続ける。こういう財界益・大企業益、アメリカ益が貫かれているのだ。人民のなかに流れる真実の声は、法人税減税・消費税増税ではなく、企業課税の適正化・所得税の累進性の回復であり、社会保障の充実、米軍「思いやり予算」や米国のための参入規制撤廃(TPP)ではなく、持続可能な一次産業部門の再生である。

人民のなかに流れる真実の声をかき消し、ときの支配者に都合のよい世論をつくりあげることに狂奔する「朝日新聞」。ジャーリズムの自壊はここまで進んだのだ 


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