プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

菅内閣最後の足掻き  財界の高まる大連立への衝動  国民世論の頑張りどころ 

2011-02-21 21:51:15 | 政治経済

菅応援団の朝日新聞社が19、20日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、菅直人内閣の支持率は20%で、昨年6月の内閣発足以来最低となった。不支持率も62%で最高。また、菅首相の進退について聞いたところ、「早くやめてほしい」が49%で、「続けてほしい」の30%を上回った。

それでも、菅首相は21日午前の衆院予算委員会で、「社会保障と税の一体改革は避けては通れない重大な課題であり、この時期に政権を預かった歴史的使命を感じて頑張り抜きたい」と財界から与えられた使命は、自分が全うすると最後の足掻きを見せている一方、菅の限界をみた日本経団連の米倉弘昌会長は急遽21日、自民党の谷垣禎一総裁と東京都内で会談した。財界・米国・マスメディアという支配階級の強力なバックアップを受け、消費税増税、米軍基地強化、環太平洋連携協定(TPP)などを推進し、マニフェストを公然と投げ捨てる菅をここまで追い込んだのは、国民の世論の力である。こうなれば、財界は大連立へ向けて必死とならざるを得ない。ここは国民世論の頑張りどころだ。世論の力でなんとしても、大連立を阻止しようではないか

 

菅首相にたいしては、「ウソつき」「顔も見たくない」「さっさとやめろ」「森以下、麻生未満」「自己愛の塊」「役人の犬」「市民運動のツラ汚し」「覚悟がない」・・・ともう散々である(『週刊現代3/5』)。

財界もしたがって大手メディアも菅単独では、支配階級の課題を達成できそうもないと覚悟を決めるほかない(「朝日」以下、日本の大手マスコミは、いまやすべて米国・日本経団連の広報紙・宣伝放送に成り下がったと考えてよい)。

今年正月元旦の「朝日」も「読売」も二大新聞揃って大連立を呼びかける社説を掲載した

「朝日」の「今年こそ改革を――与野党の妥協しかない」と題した社説は主張する。少子高齢化のもとでの社会保障の危機克服、財政再建、中国などの成長に立ち向かうためのTTPなどの焦眉の 課題を実現するには 、政権交代の可能性のある民主、自民両党が協調する以外には、とるべき道がないではないか。これらの課題実現で両党は一致している。菅政権単独でできないなら大連立以外にない。自民党は菅政権を倒すのはやめろ、民主党はマニフェストを清算して連立しろ――。

「読売」はさらに踏み込んで“手順”まで教唆する。民主党と自民党が暫定的に連立を組んで、普天間「移設」、TPP、消費税引き上げといった緊急かつ重要な課題を解決し、そのあとで解散して総選挙をやればいいじゃないかというのだ。

 

菅は、なんとかみずから生き延びて、自己の主導のもとに、どの野党でもいいから組むことで、財界・米国が望む消費税増税、TTP締結、衆参両院の定数削減、そして普天間基地の辺野古「移設」などの課題に踏み出し、やがて自民党を抱き込みたいと思っている。しかし、自民党も他の野党も、世論の手前いまの菅の泥船に乗るわけにはいかない。菅が自民党側から首相をだすとでも言えば揺れるかもしれないが、自民党の谷垣氏は、米倉会長が「経済連携協定の早期締結など国の将来を左右する待ったなしの課題で、超党派の取り組みを展開してほしい」と連立を促したのに対し、「現状ではひとたび国民の声を聞いて、新しい方向を作っていくということが、かえって早道なのではないかという考え方に大きく傾いている」と述べ、あくまで菅退陣、自民党が主導権を取るのが先との姿勢を示した。

 

今後の政局の予測をするのは難しいが、菅がこのままでは何も進まないので、早晩、解散・総選挙が避けられないだろう。民主党は減り、自民党は増えるだろうが、いずれも過半数にはいかない。衆参のネジレもなくならい。財界は、マスコミを総動員してでも、相対多数をとった方のイニシアティブで連立をつくれと強く要求するだろう。逆に国民からみれば、大連立は最悪の選択である。民主も自民も同じ穴のムジナであることを見抜いた国民は、何としても消費税増税反対、TPP反対を貫くことだ。税金は強者、富者に払わせる、米国の年次改革要望書に全面降伏するTPPを絶対阻止する意思を固める。そうすれば、民主も自民も選挙後に簡単に大連立に踏み込めないだろう。


最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はんべ)
2011-02-25 17:03:24
もうはやくやめてくれすっから菅wただ国会を引っかき回してるだけに過ぎない。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。