プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

普天間問題  ヘリ訓練下地島移設案  いつまで沖縄県民を愚弄するのか!

2009-12-31 18:24:36 | 政治経済
軍普天間飛行場の移設問題が、鳩山首相の究極の八方美人で混迷を深める中、ヘリコプターの訓練の一部を同県内の離島に移転したうえで、普天間の継続使用を容認する案が30日、鳩山政権内で浮上した、という(「朝日」2009年12月31日)。住宅密集地にある普天間の危険軽減策を米側に求め、県外・国外移設を主張する沖縄県民の理解も得るという考え。訓練移転先には、伊江島(同県伊江村)や下地島(同県宮古島市)が検討されているというのだ。 いつまで沖縄県民を愚弄するのか!
普天間「移設」が混迷する最大の問題は、無条件返還を求める沖縄県民の意思を無視して、96年橋本内閣の池田(行彦)外務大臣、久間(章生)防衛庁長官が、SACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意で、「県内移設」というやり方を持ちこんだことである。普天間の継続使用も沖縄県内の離島も沖縄県民を愚弄するものであることは明らかだ。「朝日」も「朝日」だ。「(伊江島、下地島)いずれも過去に普天間移設先として検討されたが、地元の反対などで断念した経緯がある」と言うだけだ。同紙の天声人語で、「・・・引き続きのご愛読はありがたい。投じたお金、時間に見合う満足をお届けできただろうか。末永く何分かを割いてもらえるよう、さらなる精進を期して00年代の筆をおく」と書くが、とても「投じたお金、時間に見合う満足」を与える記事とはいえない。問題の本質に迫る記事を書くためには、歴史的な経過を調べるのは最低限の仕事だろう。

 SACO合意からなぜ13年間普天間基地問題が動かなかったのか。無条件返還を求める沖縄県民の意思を無視したからである。8月の総選挙後初の8党の党首クラスの討論となった27日のテレビ朝日系「サンデープロジェクト」。共産党の志位委員長は明快である(「しんぶん赤旗」2009年12月28日)。
田原(総一朗) もともと、普天間は無条件撤去ということ?
志位 そうです。“移設条件付き”という立場から抜け出し、無条件撤去というところにいかないと問題は解決しません。
志位 (普天間問題に)なぜ結論が出せないのかというと、鳩山さんが「抑止力を考えると」ということを言っています。これが最初にでてくるのです。つまり海兵隊は、日本の平和と安全のための「抑止力」になっている、という“呪縛”があるのですよ。
しかし、沖縄の海兵隊はそういう役割を果たしているのでしょうか。ベトナム戦争、アフガニスタン戦争、イラク戦争、ファルージャの虐殺に真っ先に殴りこんでいる部隊が海兵隊じゃないですか。これは「抑止力」ではなく「侵略力」です。 
田原 だから海兵隊は撤退しろと?

 私に言わせると、海兵隊が「抑止力」であるか「侵略力」であるかも大事だが、軍事面での覇権主義、経済面での新自由主義というパックス・アメリカーナの崩壊の過程が始まっているこのときに、そもそも安保50年をいつまで続けるのか、このことこそ問われなければならない
日米同盟関係というのは、一皮むけばアメリカの利益に奉仕させられてきた歴史でないか。米軍再編とは、世界のイスラム教徒を敵に回してしまったアメリカが中東やアジア・太平洋地域にヨリ迅速に効果的に介入するための米国の戦略変更の一環にすぎない。にもかかわらず、戦争で手に入れた沖縄の基地の「返還」を利用して、日本からカネを巻き上げようとしている。
アメリカの意向に沿う、この不都合な事実を国民に隠すために、政府はこれまで数々の密約外交を続けてきたのだ。日米安保とは、軍事条約だけでなく経済協力とのパッケージであり、アメリカの周到な世界戦略の一環である。経済学者の宇沢弘文さんは、「日本が果たして独立した一つの国であるのかどうか、信じられないぐらいの状況ですね。属国ならまだいい、完全に植民地だ・・・」と語っている(宇沢弘文・内橋克人『始まっている未来』岩波書店2009)。

 伊江島の戦中、戦後の歴史は1943年の日本軍飛行場建設時の住民徴用から始まって激しい戦闘、集団自死、戦後の強制住民移動、米軍の強制土地接収、基地被害など沖縄戦の縮図そのものだ。宮古島市の下地島空港は現在、パイロット訓練飛行場として使われている。1994年までは那覇との間に民間機の定期便が就航していたが、それ以後は民間機の訓練だけが行われている。下地島空港の利用方法については、飛行場設置に当たって1971年(昭和46年)に日本政府と当時の屋良朝苗琉球政府行政主席との間に交わされた「屋良覚書」が存在しており、軍事目的の使用に釘をさしている。1979年の供用開始とともに、沖縄県議会は「下地島空港は、民間航空機のパイロット訓練及び民間航空機に使用させることとし、自衛隊等軍事目的には絶対に使用させないこと」と付帯決議をした。

 歴史的経過を調べもせず、やれ伊江島とかやれ下地島とか簡単に言うな! 沖縄県民を愚弄するのもいいかげんにせよ!
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 社保庁職員525人解雇処分... | トップ | 徳島の光洋 JMIU組合員... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

政治経済」カテゴリの最新記事