プロメテウスの政治経済コラム

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北朝鮮人工衛星発射の空騒ぎ―北朝鮮だけを差別するダブルスタンダードと過剰演出の茶番劇―

2016-02-08 19:38:34 | 政治経済

あっというまに北朝鮮が人工衛星発射を敢行し、北朝鮮だけを差別するダブルスタンダードと過剰演出の茶番劇が終わった。もし北朝鮮が本当にミサイルを発射する気なら、事前に発射予定など知らせるはずがない。人工衛星の発射実験であることを知った上で、日米韓政府の過剰演出やそれを囃し立てる「赤旗」も含めたマスコミの茶番劇は噴飯ものである。

 

日米韓政府とその意向を受けたマスコミは、今度の北朝鮮の長距離ロケットの打ち上げを「事実上の長距離弾道ミサイル」発射と連呼し恐怖を煽りたてた。防衛省は仰々しくも、7日未明までに「迎撃」態勢を構築。海上自衛隊はスタンダード・ミサイル(SM3)装備のイージス艦3隻(東シナ海2隻、日本海1隻)を展開。航空自衛隊はパトリオット・ミサイル(PAC3)を首都圏3カ所(市ケ谷、朝霞、習志野の自衛隊基地内)、沖縄本島2カ所(那覇基地、知念分屯基地)、先島諸島2カ所の計7カ所に配備した。

 

しかし、防衛省は、はじめから「ミサイル」を迎撃する気もなければ、その能力もなかった。

北朝鮮が2日に国際海事機関(IMO)に通告した飛行経路によれば、日本の上空を横切るのは沖縄県・先島諸島の多良間島付近。首都圏3カ所のPAC3は何の関係もない。そもそも、PAC3の迎撃高度は「数10キロメートル」(防衛省)とされ、先島諸島上空約500キロを通過したとみられるロケットを迎撃することは、もともと不可能。また、予想軌道から外れた破片などを迎撃するなどというのは、神業だ。経路から約20~150キロも離れた宮古島、石垣島、与那国島に陸上自衛隊の化学防護部隊などを派遣したのは、こけおどし以外のなにものでもない。

 

今回の発射には「事実上の長距離弾道ミサイル」に転用可能な技術が用いられておることは確かである。しかし、それを言うなら、どの国のロケット技術でも同様であり、アメリカや日本で打ち上げられているロケットも「事実上の長距離弾道ミサイル」にほかならない。核開発と同時並行で進められ、それを搭載するためのミサイル開発を目的とした発射であったとしても、アメリカやロシアの核・ミサイル開発とどこが違うのか。北朝鮮の「事実上の長距離弾道ミサイル」だけを問題視するのはダブル・スタンダードであり、朝鮮の人工衛星打ち上げを狙い撃ちするのは、差別以外の何ものでもない。「宇宙空間における科学的調査は、自由」であり、、「いかなる種類の差別」もあってはならないのだ。

 

今度の北朝鮮人工衛星発射の空騒ぎをもっとも喜んでいるのは、アメリカである。防衛省は、大気圏再突入時のミサイルを「迎撃」する終末高高度防衛(THAAD)システムの導入を検討し始めている。韓国の朴槿恵政権も対中国の関係で、THAADの導入を渋っていたが、前向きに進めるという。1953年以来、休戦状態にある朝鮮戦争の終結をわざと遅らせ、北朝鮮の脅威を煽りたてることは、米国にとって、日本や韓国の政府を支配し、商売繁盛の有難い打出の小槌なのだ。


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