プロメテウスの政治経済コラム

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どうなる米国産牛肉輸入再開問題

2005-11-14 22:10:25 | 政治経済
ブッシュ大統領の来日を前に、在日米軍再編問題とならんで米国産牛肉輸入再開問題が熱い話題となっています。マスメディアは、「12月にも輸入再開か」といっせいに報じました。まるで対米従属がきわだつ小泉首相の意向が伝染したようです。10月31日の食品安全委員会プリオン専門調査会の審議結果(答申案)は、一方では科学的見地を維持しながら、他方で対米従属丸出しの政治的文書となりました。輸入再開派は答申案の都合のいい文章の都合のいい箇所だけを取り出し、利用するつもりのようです。
答申案は、「米国・カナダのBSEリスクの科学的同等性を評価することは困難」と科学的見地を維持する一方で、「生後20ヶ月以下」で「特定危険部位」を取り除くという条件が守られるのならば、「リスクの差は非常に小さいと考えられる」としました。もともとアメリカにはBSEを検証できるような検査体制が存在しないのだから、当然データも揃うわけがなく、答えをだせと言われれば、科学的同等性を評価することは困難、出来ませんというほかないのだ。無理に「リスクの差は非常に小さいと」と言おうとするから、奇妙な条件をつけざるを得ないことになるのです。
日本は、01年10月から、食用にまわる(月齢を問わず)すべての牛について、BSE病原体の有無を調べる全頭検査をしています。さらに全頭から特定危険部位を除去しています。日本では生産から販売までの履歴を1頭ごとにつかむ個体識別可能システムを確立しています。これに対しアメリカでは「生後20ヶ月以下」といっても正確に追跡できるシステムはありません。「特定危険部位の除去」についても日本のように徹底していません。そもそも20ヶ月以下が本当にBSEから完全に安全かどうか実はよくわかっていないです。
対米従属で有名な小泉政権はなんらかの条件をつけて輸入再開に踏み切るものと思われます。そこで問題になるのが、原産地表示です。ハンバーグやローストビーフのように加熱加工された加工食品には表示義務はありません。焼肉店やレストランなどの外食については、表示するもしないも自由となっています。原産地表示の義務を徹底させ、消費者が自ら米国・カナダ産の牛肉をリスクを冒してでも選択するかどうか判断できるようにすべきでしょう。


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