プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

NHK日曜討論「自民党新憲法草案」

2005-11-28 17:55:25 | 政治経済
27日のNHK「日曜討論」では、「自民党新憲法草案」を巡って各党代表による討論が行われました。この中で、公明党憲法調査会座長の太田昭宏幹事長代行の発言が注目されています。太田氏は、「自民党草案は(主権在民、平和主義、基本的人権の尊重など)三原則も堅持し(現行)憲法の基本的枠内にとどまっている。全体的には(公明党が主張している)加憲的方向で論議されている」と評価しました。これだけなら、肝心な点では、いつも自民党に追随する公明党と思っていましたが、一方で太田氏は、「自衛軍」の明記については「賛成しかねる」とし、九条二項(戦力不保持・交戦権否認)についても「現憲法の平和主義は大事な項目だから、一項、二項は堅持する」と発言。これについて、「朝日」(インターネット版)は、「公明党幹部が自民党案の個別項目について批判したのは異例」とコメントしました。 また、太田氏は、番組のなかで、自民草案が「公益」や「公の秩序」に反しないことを「国民の責務」と規定しているのに対し、「国民の権利を守るために国の公権力を縛るという(近代立憲主義の)構造が崩れないようにと、気になることがいっぱいある」とも述べました。
海外での武力行使の具体的な歯止めとなってきた九条二項の削除や「自衛軍」の明記、「公共の福祉」を「公の秩序」に置き換え、それに反しないことを「国民の責務」とする規定は、まさに自民草案が現行の憲法原則を正反対に変える核心部分です。現憲法9条2項(戦力不保持、交戦権否認)は、解釈改憲でどうしても乗り越えられない最後の砦の役割を果たしてきました。同じ番組のなかで、自民党新憲法起草委員会の舛添要一事務局次長は、改憲の目的について「眼目は九条だ」と明言し、PKO法、周辺事態法、テロ特措法、イラク特措法で自衛隊の海外派兵をすすめてきたことに触れ、「個別の法律を積み上げて、無理に無理を重ねるのは、もう限界だ」と、告白しています。海外で、アメリカに対し後方支援以上の支援を行うためには、どうしても9条2項が障害なのです。人権条項についても、戦争を遂行するためには、人権に一定の制限を加え、国民を「公益」「公の秩序」に統合することがどうしても必要となります。しかし、もともと憲法とは国民が国家権力を縛るルールを定めるものであって、国家が国民の義務を定めるものではないのです。
公明党・太田氏の自民党新憲法草案は現行憲法の三原則の枠内にあると評価する発言と「現憲法の平和主義は大事な項目だから、一項、二項は堅持する」という発言とは明らかに矛盾しています。公明党は来年秋をめどに独自の改憲案を纏めると言われていますが、現行9条1項、2項の条文を維持する「加憲」を前提とするのかどうか、もし堅持するというなら、なぜいま「加憲」なのか、国民の前に明らかにする必要があるでしょう。

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1 コメント

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新憲法草案にこんな人を喰った表\現 (とり)
2005-12-15 08:44:25
第9条2項が愛情と言う言葉にすり替えられているのでしょう?ショパン夜想曲9の2『愛情物語』にひっかけた! バカヤロゥゥ悪魔
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