プロメテウスの政治経済コラム

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鳩山「抑止力は方便」発言 <続き>  ゲーツ国防長官も「海兵隊の任務って何?」

2011-02-16 21:00:16 | 政治経済

昨日の当ブログで私は、鳩山前首相が、学べば学ぶほど「海兵隊は抑止力」と言ったのは、ジャパン・ハンドラーズと彼らに加担した外務官僚、防衛官僚、大手マスメディアや御用評論家たちに対し、追い詰められ、首相を追い出されることになった人間として、最後に嫌味を思いっきり吐き出した「イタチの最後っ屁」であったのだろう。だから、後付けの「方便だった」と思わず本音を漏らしてしまった、という指摘をしておいた。ジャパン・ハンドラーズの手下、手先となった大手マスメディアや御用評論家、政治家は恥晒しなものだから、「菅政権は米海兵隊を引き続き駐留させる必要性、抑止力との関係について繰り返し説明する必要がある」などと喚いている。しかし、まともなメディアなら、琉球新報の与那嶺路代さんのように、本家の米国で、ジャパン・ハンドラーズではない普通のアメリカ人が、在沖海兵隊を巡ってどんな議論をしているかぐらい日本の読者に知らせるべきだろう。大手メディアの米国特派員は日頃何をしているのか! 全国紙の不買運動を呼びかけたい気持ちだ! 世界の米軍の総元締めのゲーツ国防長官すら、「海兵隊の任務って何?」と疑問を投げかけているではないか!

 

海兵隊については、米国が海外で始める戦争に“いの一番”で駆けつける「殴りこみ部隊」であり、しょっちゅう日本を留守にする海兵隊が日本を守る「抑止力」などではないと言われてきた。本国アメリカでは、海兵隊の名前の通り、海から敵地に乗り込み「殴りこむ部隊」であるはずの海兵隊が、最近では、軍用機で空から戦場に入り、身軽に移動できない重装備で陸上で戦うなど、本来の特質からずれてきているのに、部隊が肥大化し、経費も右肩あがりであることを問題視するようになっている。

ゲーツ国防長官も、「海兵隊の役割は、陸軍とどこがちがうのか」。海兵隊が最後に海から強襲をかけたのは、朝鮮戦争の仁川上陸作戦だ。以後60年もの間、海兵隊が「殴り込み」をしたことはないと説明し、シンプルに「海兵隊の任務って何?」(昨年5月の演説)と疑問を投げかけざるを得なくなっている(与那嶺路代「経済危機が揺るがす在外米軍体制」『世界』2011.2 no.813)。

与那嶺さんによれば、ゲーツ長官は、世界を取り巻く脅威の変化や兵器の革新などを踏まえ、海兵遠征軍を含めた海兵隊の体制を見直すよう、海軍と海兵隊の指導者に指示したという。「米海兵隊を引き続き駐留させる必要性、抑止力との関係について繰り返し説明せよ」という日本の大手メディアの時代錯誤は犯罪的である。

 

日本の大手メディアの現地駐在員の取材範囲は限られている。日本語のできるジャパン・ハンドラーズや米政府関係者、駐米日本大使館関係者などである。これでは、安保で飯食う者たちの声が即米国の声となってしまう。

以下、与那嶺さんが取材したジャパン・ハンドラーズ以外の普通のアメリカ人の声を紹介しよう。

<マイク・モチヅキ・ジョージワシントン大学教授>

「(在沖海兵隊は)誰に対しての抑止力なのか。北朝鮮なら、韓国軍がいるし、米軍も駐留している。」「中国の攻撃に対して海兵隊が沖縄に存在すると思わない。人道支援や災害救助なら、ペンドルトン基地(カリフォルニア州)からでも移動可能であり、沖縄にいる必要はない。日本(の自衛隊)が支援活動をすることも可能だ。」

<モートン・ハルペリン元国防総省次官補代理>

「沖縄返還から何十年も経つのに、基地構造が当時とまったく変わらないことに本当に驚いている。政府が何もしなかったことが原因だ。」「軍は沖縄自体を基地だと思っている。若し沖縄を基地ではなく日本の領土だと認識していたら、どのような基地構造であるべきかおのずと答えはだせるだろう。」

<リチャード・サミュエルズ・マサチューセッツ工科大学教授>

「民主党は『対等な日米同盟』を掲げた。・・ドイツは時にノーと言うし、フランスは常に言う。だからといって同盟が崩れるわけではない。これが正直で健全な関係なのだ。」

<バリー・ポーゼン・マサチューセッツ工科大学教授>

「海兵隊が沖縄を去っても、日本に空、海軍が残れば抑止力は変わらない。日本対中国、中国対台湾で起こりうる軍事行動の中で、海兵隊がどんな役割を果たすのか見えない。」

 

こうして、アメリカの知性の声を聞いていると、「反米」でも、「異常な支配・従属関係」でもない、「対等・平等・友好の日米関係」を築くことが可能であるように思える。日本の大手メディアに騙されてはならない。

 

 


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