プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「小さな政府」ではなく「良い政府」を

2006-04-22 15:00:44 | 政治経済
「簡素で効率的な政府」を口実に国民の暮らしを支える公共サービスを切り捨てる「行政改革推進」法案、「市場化テスト(公共サービス改革)」法案など「行革」関連五法案が20日、衆院本会議で自民、公明などの賛成多数で可決され、参院に送付されました。小泉構造改革のめざす「小さな政府」とは、民間企業に新たな市場を開放しながら国民にとっては「やらずぶったくり」の「歳出・歳入一体改革」の一環として位置づけられています。「小さな政府」だからといって負担が軽くなるわけではありません。

国民にとって必要な公共サービスが受けられない、あるいは民間企業が提供する公共サービスをお金で買うほか仕方がないとなれば、「小さな政府」で、たとえ税負担が増えなくてもサービス購入経費が必要となり、貧しい国民は社会から疎外されるほかありません。しかも小泉政権は、「歳出・歳入一体改革」の名で社会保障財政に総額圧縮の歯止めをかけつつ、他方で大衆課税の消費税増税を予定して、歳出・歳入両面から国民の生存権を侵害しようとしています。「小さな政府」のもとで、負担が増える、まさに「やらずぶったくり」なのです

「行革推進」法案の最大の問題点は、教育、福祉、消防など住民の暮らしと安全を守る公務員の数を期限を区切って削減することです。これは公務労働者にたいする攻撃だけでなく、住民にたいする攻撃でもあります。「市場化テスト」などによる行政サービスの民間開放は、一部大企業へのビジネスチャンス拡大を目的とするものであり、コスト原則に基づいて、貧富の格差によってサービスの内容が異なることにならざるをえず、国や地方自治体が、国民に保障してきた行政サービスの公平性や専門性などは投げ捨てられてしまいます。
国民にとって「良い政府」とは、「小さな政府」でもなければ、「大きな政府」でもない、無駄で不必要なサービスを削除するとともに必要なサービスは質量ともに十分にかつ公平に提供される政府です。その財源原則は、応能負担を大前提に、労働者階級の再生産にかかわるものは、使用者=総資本(企業)の負担とし、その他のものは国庫等の公的負担とするのが資本主義社会の大原則です

いま政府は消費税大増税を前にして、これを歳出改革とセットにし、税率の引上げ幅について「大きな政府か、小さな政府かで、税率の引上げ幅は、天と地ほど違ってくる。何としても引上げ幅を最小にしないといけない」(「日経」1月6日付)などと国民に「仕方がない」と思わせることを系統的に追求しています。

私たちは、公務員を標的とする「小さな政府」のキャンペーンに踊らされるのではなく、真正面から「良い政府」を要求しなければなりません。国民生活に不必要な歳出の削減要求をし、不当に負担を逃れている大企業・金持ちに歳入増を要求することです。これが国民の立場にたった「歳出・歳入一体改革」です。



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