プロメテウスの政治経済コラム

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斎藤投手の右肩に異変!?  甲子園の連投を考える

2006-08-28 18:16:18 | スポーツ
2006年8月28日(月) 8時2分 サンケイスポーツ・インターネット版は次のように報じました。「(高校野球 日本選抜合宿、27日、大阪・松下電器グラウンド)“王子”の右肩に異変!? 日本選抜チームは約3時間の練習を行ったが、早実・斎藤佑樹投手(18)=3年=は2日続けてブルペンでの投球練習を行わなかった。斎藤は初優勝した甲子園で7試合、計948球を投げた肉体的疲労がいまだに回復していない状態で、最悪の場合、米国で現地時間31日(日本時間9月1日)から開催される日米親善試合でも、登板を回避する可能性が出てきた。」

「しんぶん赤旗」は、引き分け再試合の翌日の8月22日付けで「連投や投げすぎ どうするか」と問題をなげかけ次のように指摘していました
【灼熱のグラウンド、響き渡る大歓声―。選手たちは、必死に、ひたむきに白球を追った。その姿に、何度、胸が熱くなったことだろう。2日間で24回、5時間半をたたかった。素晴らしい激闘を見せてくれた選手たちに、心からありがとうといいたい。しかし、課題も見えた。選手を酷使する投手起用だ。早実のエース斎藤は、今大会7試合に先発。準々決勝からは4連投で、35度を超える暑さで948球を投げた。駒大苫小牧の田中も先発ではなかったが3連投だった。両監督は「たたかう姿を見せる意味では(斎藤の)先発しかない」(早実・和泉監督)「皆さんの注目もあるし」(駒大苫小牧・香田監督)と登板させた。両エースは、前日から「大丈夫だ」「投げたい」と語っていた。だが、高校野球はよくも悪くも監督の考え方、哲学が反映する。和泉監督は「斎藤はいつも『大丈夫』としか言わないから困る」というが、そこでよく話し合い、選手の体の実情をつかむのが指導者の役目ではなかったか。(栗原千鶴記者)】

日本整形外科スポーツ医学会理事長・聖マリアンナ医科大学学長青木治人さんは「今回、決勝での両投手は本当に頑張ったと思います。しかし、投手の連投は、医科学的には決してすすめられません。まして3連投、4連投というのは絶対にいいとはいえないし、本当は心配な状況です。・・・投げるという動作は、他の運動と同様に筋繊維が損傷する状態になります。それを回復させるには、時間がかかります。・・・高濃度の酸素カプセルで疲れを取っていたという点・・・これは一定程度、疲れもとれますし、組織の損傷も早く治ります。しかし、『傷んだ』という事実は残るのです。ふつうは時間をかけて治すものを一晩でリカバリーさせるのは、不自然な状況といってもいいと思います」と語っています(「しんぶん赤旗」06・8・25)。

大リーグ評論家の福島良一さんは「米国では、野球する子どもたちの投球数の目安が示されています。10歳では一日50球、12歳は70球、14歳75球、16歳90球、18歳は105球以内となっています。もちろん連投などは厳禁ですし、変化球もひじへの影響を考えて、指導者は極力投げさせないようにしています。」と指摘しています。大リーグでもブレーブスやブルージェイズは救援投手の投球数まで細かい基準を作っているということです。大リーグのスカウトが連投する投手の姿を見て「信じられない」と驚くような事態は早急に改善されなければならないでしょう(「赤旗」同上)。

日本カイロプラクティックドクター専門学院・スポーツトレーナー高倉功さんも「ひたむきにがんばるのが青春かもしれませんが、高校生など、これからスポーツを長く続けていくことを考えれば、連投によって選手生命が短くなる危険性は否定できません」と警告しています(「赤旗」06・8・28)。 

「選手を本当に大事に考えるなら、高野連が具体的に球数を制限したり、連投の基準を設けることも必要ではないでしょうか」(「赤旗」栗原千鶴記者)。


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