プロメテウスの政治経済コラム

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サラ金 金利引き下げを巡る攻防

2006-08-27 18:12:27 | 政治経済
サラ金の高利は、刑事罰のない利息制限法の上限を超えて、これをはるかに上回る出資法の上限金利29・2%をとることで成り立っています。利息制限法の上限金利と出資法の上限金利の間の灰色金利は、借り手が任意で払っているという建前で、貸金業規制法が特例として認めているものです。
明らかなサラ金業界保護法制であり、サラ金被害者やその支援者、法曹関係者などは灰色金利の廃止を強く求めてきました。今年一月には最高裁で灰色金利を無効とする判断が相次いで示され、各地で払いすぎた金利の返還を求める訴訟が広がっています。 

貸金業規制法の三年目の見直し時期を来年に控え、金融庁の貸金業制度等に関する懇談会は四月、上限金利を「利息制限法まで引き下げることが委員の大勢意見」とする中間報告をまとめました。金融庁が今回の法改正で灰色金利を廃止し上限金利を一本化することを打ち出したのは、その害悪が無視できなくなっているからです。

政府の改正案で、灰色金利の廃止が不可避とみたサラ金、クレジット業界は、少額・短期(貸付額50万円以下で返済期間は1年以内)の融資に限って高金利を認める「特例」措置を導入することを画策、政治資金をサラ金業界に依存する自民、公明両党の議員に働きかけ巻き返しにでました。特例対象には出資法の上限に近い金利水準(29・2%)での貸し付けを認めることになり、これは新たな灰色金利の持ち込みであり、現状の高金利の合法化をねらうものです。サラ金利用者の一社あたりの平均借入額は約四十万円ですから、それらが含まれれば「特例」でも何でもない、現状と何も変わらないということになりかねません。
業界(族議員も同じ)の言い分は「金利が大幅に下がれば、貸し倒れリスクの高い借り手(低所得者)には貸せなくなり、ヤミ金融に向かう」というものです。高金利は貸し倒れリスクに備えたもので、引き下げると貸し付け時の審査を厳しくせざるを得ず、正規の業者から借りられない人たちが増え、結果的にヤミ金融の犠牲者が増える―という議論です。しかし、高金利で貸すからそれだけ返済がしづらくなり、貸し倒れリスクが高まるという悪循環に陥っているのが現状です。金利を下げればそれだけリスクも減ります。また、ヤミ金融はそもそも犯罪であり、それを前提に自分たちを擁護する議論は成り立ちません。

米国金融業界団体(フィナンシャル・サービシズ・ラウンドテーブル/フォーラム)は、8月8日付書簡を与謝野経済財政・金融担当相と加藤良三駐米大使に送付、金利の上限引下げは「日本の消費者及び米国金融資本の日本での事業に長期にわたり有害な影響を与える」と圧力をかけてきました。日本の大手サラ金企業への米国金融資本の出資比率は約54%~22%を占めます。
米国では八〇年代からの「規制緩和」で、金利規制の緩和・撤廃が続き、結果として低所得層・経済的弱者を食い物にする高金利の消費者金融被害が全国的に拡大し大きな社会問題になっています。米国の口出しで日本の政策を逆戻りさせることがあってはなりません(「しんぶん赤旗」2006・8・26)。

サラ金がはびこるのは高金利が許されているからです。それに実効ある規制をすることは「社会の落とし穴」をふさぐ第一歩です。最近も貸付残高業界第一位のアイフルが業務停止処分を受けたのに続き、同第二位のアコムが過剰貸付規制を不当に逃れるなど違法行為をおこなっていたとして金融庁の立ち入り検査を受けました。法の不備や抜け穴を使ったこんな悪徳商法を一掃するためにも、社会の合意である上限金利の引き下げを、一切の特例なしに実現することが不可欠です(「赤旗」同上)。金利引き下げを巡る攻防に目が離せません。

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1 コメント

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Unknown (消費者金融)
2007-01-08 22:05:56
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