プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

16年夏季五輪の国内立候補都市 東京に なんで今どき五輪招致!?

2006-08-31 18:09:49 | スポーツ
2004年のアテネ五輪は選手の活躍で日本は過去最多のメダル(37個)を獲得、6年前に文部科学省が掲げた10年後にメダル獲得率3・5%の目標を達成してしまいました。三期目を迎える竹田恒和JOC会長は、昨年の年頭挨拶で新たな目標の目玉として五輪招致を打ち出しました。今回の五輪招致は、そうした流れのなかで明確なビジョンもなく浮かび上がってきたのです(「しんぶん赤旗」06・8・25)。
今年二月のトリノ冬季五輪では、日本勢が低迷し、選手の競技生活や練習拠点のお寒い状況が問題となりました。国内のスポーツの基盤が崩れたままなのに五輪招致に熱を上げていいのか。指導者や専門スタッフの育成、一貫指導のシステムづくり、選手強化の練習拠点整備など長期的な視野にたった競技力向上の基盤づくりに国とともに努力することこそJOCが今やるべきことではないか。なぜ、この時期に五輪招致なのか―JOCはその理念や根拠を示すべきです。

東京都33票、福岡市22票(JOC理事25人と各競技団体代表者30人の委員による無記名投票)が今回の投票結果でした。JOC理事らは、国際的な知名度と巨大な財政力をもつ大都市以外では、国際オリンピック委員会(IOC)の支持が得られないという強い思いを持っていますので、「東京有利」といわれるなかでは、予想外に票差が開かず、東京の計画への批判票が目立った結果でした。

石原都政は五輪招致を「オリンピックを梃子に都市と社会を変革する」(開催概要計画書)機会にするつもりです。破綻した臨海部のインフラ整備や、東京外郭環状道路(外環)をはじめとする環状高速道路網の建設などの大規模再開発をたくらんでいます。理念やビジョンとは無縁の政治や利権絡みで計画を進めようとしています。スポーツ関係予算を9年間で59%も削減しておいてなにがオリンピックか。都は今年度予算で「五輪開催準備基金」として一千億円を積み立て、五輪に向けて毎年一千億円ずつ積み増す方針を示しています。五輪招致を“錦の御旗”とした大型開発と浪費を中止し、福祉やくらし、身近なスポーツなどの都民施策にまわすべきだ――これが多数の都民の声ではないでしょうか。

候補地決定をうけて、石原都知事は早速3選出馬表明しましたが、朝鮮や中国の人々を「第三国人」と呼んで平気で蔑視するような国際感覚のない人物が知事では、国際都市・東京のイメージダウンは避けられません。IOCの支持はとても得られないでしょう。内閣に五輪招致担当相設置の動きもあります。国費の無駄使いは絶対に許されません。国威発揚や都市開発のための五輪はもはや時代遅れです。JOCからIOCへ立候補申請するのは、2007年7月です。都民や国民の徹底討論が求められます。大型開発の前に、なぜ五輪に立候補するのか、理念・コンセプトをまず明確にすることです。


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