プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

亀田選手はメディアが作った偶像か? 真価が問われる今後の精進

2006-08-03 17:29:13 | スポーツ
ボクシング界の救世主としてマスコミで話題先行の亀田3兄弟の長兄、亀田興毅選手がいわゆるホームタウンディシジョン(Hometown Decision)に助けられWBAライトフライ級の新チャンピオンになりました。いまの亀田人気はテレビを先頭にマスコミが作り出したものです。亀田一家の派手な言動を話題づくりに仕立ててきました。いまの亀田選手の実力がどの程度のものかは今度のチャンピオン戦で明らかになったのではないでしょうか。亀田選手はまだ発展途上のボクサーです。売らんがための過大な期待や持ち上げは本人の成長のためにもなりません。先輩の忠告を拒否するような傲慢な態度(本人より周りが問題?)を捨て、謙虚に実力を磨き、人間的にも成長することです。

昨夜の試合内容は決して勝利したとはいえないものでした。最初から手数多くパンチをくりだす相手=ランダエタ選手(ベネズエラ)に終始主導権を奪われ、1回終了間際には痛烈な右フックを浴びて初ダウン。その後も、相手の巧みなボクシングに自慢の強打も不発、11回はクリンチで逃れるのがやっと。最終12回もいいように打たれました(「赤旗」2006年8月3日)。 2―1と割れた判定は、ホームタウンディシジョンとしか言いようがありません。誰が見ても、負けたと思った選手の「逆転勝利」でした。

亀田選手は、弟の大毅(17)、和毅(15)両選手とともに父親の史郎さん(41)にボクシングを教え込まれ、挑発的なキャラクターも受けて大阪出身の人気選手になりました。テレビ局が同選手の人気に目を付け、全国的な売り出しにも成功。世界戦の前哨戦が高視聴率を稼ぎ、全メディアの注目を浴びました。その意味では、亀田選手は、実力よりも人気先行のメディアが作った偶像でした。

父・史郎トレーナーを練習生時代に指導した新日本大阪ジムの鈴木太一会長は「赤旗日曜版(2006年7月30日号)」で次のように語っていました。「これまでの対戦相手は“かませ犬”ばかりで、キャリアが少ない。階段を一段一段上がるよりも、エレベータに乗ってきた感じ」
今回の世界挑戦にあたって、亀田選手は本来のフライ級から1階級下げました。フライ級には、タイのグラティンデーンジム選手やロレンソ・パーラ選手(ベネズエラ)らの強豪がいます。チャンピオンをつくるための近道でした。

先の「赤旗日曜版」は、亀田人気に過度な期待をかけるあまり、亀田3兄弟を批判しにくい雰囲気が出てきていることに懸念を述べていました。
東日本ボクシング協会副会長の具志堅用高さんが「弱い外国人とばかり対戦している」、「相手をにらみつけたり、挑発するような言動は慎むべきだ」と「(亀田選手の)成長を願ってアドバイスしただけ」(輪島功一さん)なのに、所属の協栄ジムの金平桂一郎会長は具志堅さんの発言に反発。絶縁宣言をしました。

劣勢の亀田選手の今回の「逆転勝利」は、フィーバーで作られた偶像が、事実の前でメッキが剥がれたことで、本人にとって、また、周りの者にとってよかったのではないでしょうか。強気の発言やパフォーマンスとの落差をもっとも感じたのは本人でしょう。「奇妙な採点」をただ批判するのではなく、「あかん、悔しい。10のうち1しか力が出なかった。もっと練習して最高の王者になる」という亀田選手の今後の精進と人間的成長に期待しましょう。




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。