2021年1月31日に『産経新聞』が、ハーバード大学ロースクール教授のラムザイヤー論文を「「慰安婦=性奴隷」説否定」との見出しで大きくとりあげたことをきっかけに、ラムザイヤー氏とその主張が日本、韓国そして世界で一挙に注目を集めることになった。私は、何を今さらハーバード大学ロースクール教授がしでかしたのかと不思議に思っていたが、今日「アリの一言」で、ラムザイヤー教授と日本との関りを教えられやっとガッテンした(https://blog.goo.ne.jp/satoru-kihara/e/d67d89a9ac656f91c30b58d568210447)。
ラムザイヤー論文(「太平洋戦争における性行為契約」)は、帝国日本の戦時性奴隷(「慰安婦」)は「業者と契約を結んだ売春婦だった」という毎度お馴染みの歴史の検証に堪えない代物なのだが、ハーバード大学ロースクール教授の肩書を持つ人物が「何で?」と思っていた。上記「アリの一言」によれば、ラムザイヤー氏は、三菱日本法学教授だった。「三菱日本法学教授」とは、三菱グループが1972年、日本の法律を研究する役職を設けるためとしてハーバード大に100万㌦(当時のレートで約3億円)を寄付したことによってできたポストで、いわば氏は戦犯企業・三菱のお抱え“学者”なのだ。
ラムザイヤー氏は、また、2018年には日本政府(安倍晋三政権)から「旭日中綬章」という勲章を授与されていたという。日本の叙勲制度は、「勲章はその創設期から、国家にとって功績のあった人間を国家が選び、天皇が与えるもの、いいかえれば「大日本帝国」の統治者・天皇を守る人びとをつくるためのものであった」(栗原俊雄著『勲章―知られざる素顔』岩波新書2011年)。
三菱のお抱え“学者”で、安倍政権から勲章をもらったラムザイヤー氏が「従軍慰安婦」を「業者と契約を結んだ売春婦だった」と言っても何の不思議もない。真面目に論評すること自体が馬鹿らしい。
ラムザイヤー氏は、「底辺層における相互監視の理論―被差別出身者、在日コリアン、沖縄の人々を例に」(2020年1月)でも、辺野古新基地建設について「一般県民は賛成したのに地元エリートと本土の活動家が私欲のために反対している」と言っていたとのことである(2月28日付沖縄タイムス)。