プロメテウスの政治経済コラム

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「自宅療養」という名の「入院拒絶」――菅政権の新たな棄民政策

2021-08-03 21:44:04 | 政治経済

 医療崩壊の危機が迫るなか、菅首相がとうとう「重症・重症化リスク患者以外は入院させない」と言い出した。これまで「原則」(あくまで建前だが)だった入院や宿泊療養を原則「自宅療養」に変更する。そして、入院対象者を重症患者や特に重症化リスクの高い人に絞り込むというのだ。今後、中等症でも重症化リスクの低い人は入院できなくなるが、このリスクを誰が判断するのか。保健所なのか現場の医師なのか。その基準はない。つまり、現実の病床の空き具合次第であり、事実上の棄民政策、コロナ患者見殺し政策と言うほかない。

 

 菅政権は棄民でないと「パルスオキシメーターを配布し、身近な地域の診療所が往診やオンライン診療で丁寧に状況を把握できるようにする。そのため往診の診療報酬を拡充する」などと言い訳しているが、東京都が8月2日発表した「入院・療養等調整中」の患者は8270人、「自宅療養」の患者はなんと1万2161人にものぼっている。つまり、すでに自宅での療養を余儀なくされている患者があわせて2万人を超えているのだ。それをいまから「診療所が往診やオンライン診療で丁寧に状況を把握できるようにする」と言われて誰が信用するであろうか。

 

 戦前も、戦後も庶民は、様々の局面で為政者による棄民政策の押し付けに泣いてきた。今、気楽に「五輪」などと言ってる場合ではない。庶民の連帯で政治と社会を変革しなければ、病気に感染することも急変によって命を落とすこともすべて「自己責任」、一人寂しく死ぬほかない。

 


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