プロメテウスの政治経済コラム

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消費税率引き上げを明言することが財政再建に不退転の決意を示すことではない!

2008-10-31 19:25:30 | 政治経済
麻生太郎首相が30日、追加経済対策公表の記者会見で3年後の消費税率引き上げに言及したことがマスコミで大騒ぎである。総選挙を控えているにもかかわらず、財政再建に不退転の決意を示したと拍手喝采、待ってましたと言わんばかりである。しかし、一般消費税は、憲法違反の天下の悪税である(10月24日付本ブログ参照)。このことは、食料品などの生活必需品の税率を低く設定しているからといって、ヨーロッパの消費税(付加価値税)が天下の悪法であることと同じである。負担能力のないあるいは弱い者に重い負担をかけることは明らかに間違っている

財政再建に増税がいらないとは言わない。問題なのは、増税がなぜ消費税の増税なのかということだ。
――<日本共産党の小池晃政策委員長は9月30日放送のTBS系番組『ずばッとコロシアム みのもんたVS国会議員』に出演。消費税をめぐる議論では、まず、みの氏が「消費税は何年後、何%に」と質問した。小池氏は「ゼロ」ときっぱり増税反対と消費税の廃止を主張した。自民党は「数年後に7―8%」(平沢勝栄衆院議員)、「四―五年後に10%」(山本一太参院議員)と、さらなる国民負担増を主張。民主党も「十年後に10%」(鈴木寛参院議員)などと増税を掲げた。
小池氏は、「社会的弱者に一番重い消費税は、なくす方向で本気でとりくむ」と述べ、「大金持ちや大企業には(年)七兆円も減税している。そういったところを見直せば(消費税の廃止は)可能だ」と強調した。>――(「しんぶん赤旗」10月2日)。

世界で最初に大型間接税をとり入れたのはドイツである。1916年の「商品取引印紙税」がそれである。商品のすべての取引に対して0・1%の税率で課税した。フランスは17年に「支払税」という名前の売上税を導入した。いずれも税収が思うように上がらず、まもなく累積型の「取引高税」に改組された。いずれも第一次大戦の膨大な戦費調達がその目的であった。イタリアでも19年に「売上税」、ベルギーでも21年に「売上税」が導入された。いずれも第一次世界大戦によって引き起こされた財政危機に対処するためであった。こうした歴史的経過のなかで、第二次世界大戦後、発足したEEC(その後EU)がその共通税制として大型間接税=付加価値税を採用して、ヨーロッパ諸国に広がった。大型間接税は、戦争とともにつくられ、戦後も廃止されず、消費税(付加価値税)へとつながったのだ。

日本の消費税、ヨーロッパの付加価値税は「格差を拡大する」。
――<「消費税は格差を拡大する」―。経済協力開発機構(OECD)が10月21日に発表した報告書「格差は拡大しているか」のなかで、こんな分析を示している。報告書によると、OECD加盟の24カ国平均で、消費に税金をかけることによって、格差を示すジニ係数が、消費税がかけられていない時の0・299から0・321に大きく拡大している。日本は、0・309から0・316に拡大している。
同報告は、24カ国のそれぞれの国の消費税の影響を分析した研究で二つの際立った特徴が示されているとしている。第一に消費税の重い負担が低所得者に集中すること、第二に全般的な消費課税は、個別的な物品課税よりも低所得者の負担となることである。>――(「しんぶん赤旗」10月30日)。


税金には法人税も所得税も相続税もある。所得―資産―消費の各部面の課税にまったく反対ではない。しかし、低所得者ほど所得に対する負担が重い一般消費税には、絶対反対である。金持ちの贅沢品の消費に課税するのは、応能負担原則に違反しない。
そもそもこの10年、財界・大資産家には、法人税減税や証券優遇税制などで年間7兆円分もの減税がふるまわれてきたことが問題なのだ。
一回限り、たった2兆円の「給付金」をだれかれかまわず支給しておいて後で何倍にもして消費税で戻せとは、よく言えたものだ。99年の「地域振興券」と同じようにたちが悪い。

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