プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

官民人材交流センター  “天下りロンダリング” “特製ハローワーク”

2007-06-14 20:29:03 | 政治経済
国民が望んでいるのは、政官業が癒着して緑資源機構事件や防衛施設庁官製談合事件のように、政治家がしごとをつくり、高級官僚が天下って業者をしきり、業者が献金で政治家にお返しをする―すべてが税金に群がる政官業の仕組みを改革してくれということである。高級官僚の天下りは禁止されなければならないし、企業献金も禁止されなければならない。そのために政党交付金制度をつくったはずだ。
しかし、今回の法案は「天下り」の事前規制をなくし、「官民人材交流センター」という名の“天下りロンダリング”、高級官僚のための“特製ハローワーク”をつくって、天下りを完全自由化する本末転倒の大改悪となっている

何でこんなことになるのか
松岡利勝前農水相の自殺まで生んだ緑資源機構事件をみても高級官僚の各省庁外郭団体、関連企業への天下りをこのまま放置できないが、天下り制度はなんとしても守らなければならない。官僚を全体の奉仕者から、自己の企業利益のために使いたい財界は、「官民の人事交流」をもっと拡大することを要求しているからだ。安倍首相が天下りの規制強化は「官民の人材の闊達(かったつ)な交流を損なう」と答弁しているように、はじめから国民の望む「天下りの規制強化」をやる気など毛頭ない。
そこで考えた論理は、各省庁の天下り斡旋をやめた体裁をとりながら、内閣の下に一本化し、「新人材バンク」を通す形式のもとで天下りを完全自由化することであった。
各省庁の陰の斡旋を官民人材交流センターという表機関を通過させるというだけで、職務と関係する企業への再就職を二年間禁止している現行規制も取っ払ってしまった期間制限もなく「新人材バンク」からの天下りとすることによって、これまでの各省庁からの天下りに公認のお墨付きを与えるものなのだ。
渡辺行革相は、省庁と公務員の再就職あっせんを「切り離す」ことで、各省庁の押し付けがなくなるなどといっているが誤魔化しもいいところである。企業は利用価値のある官僚の天下りを企業のほうから求めて必死なのだ。企業から「こういう人物を採りたい」と要請があった場合、法案には、その天下りを妨げる定めは「特にない」のだ企業が望んだ天下りは、「押し付け」ではないというわけだ。職員が退職後に、センターを利用しないで自ら働きかけて職務と密接な企業に天下りをすることも、法案には「規制がない」と政府は認めている。

特権的キャリア優遇制度もまったくそのままである。「キャリア(高級官僚)を全員一律にえらくできないので、適材を局長や次官にしたら同期の人は早めに辞めてもらうので、再就職のあっせんが必要だ」(自民党・片山虎之助参院幹事長)とは、これまで天下り合理化に使われてきた論理である。しかし、これもおかしな論理である。日本共産党の小池晃政策委員長は「民間企業では同期や後輩が自分より出世しても、みんながんばっている。キャリアは耐えられないほどひ弱なのか」「辞めたい人は辞めればいい。再就職先はハローワークで探せばいい」と痛烈に批判している(「しんぶん赤旗」6月12日)。「いま若い方がハローワークにいっても非常に劣悪な条件の労働しか手に入れることができないなかで、高級官僚だけになんで『天下りバンク』という“特製のハローワーク”をつくってやらねばならないのか」(共産党・志位委員長「しんぶん赤旗」6月8日)。

「官民の癒着」が大問題になっているときに、財界要求の「官民の人事交流」を大原則にすえる―これほど国民をバカにした話はない。安倍・自公政権に参院選挙で鉄槌を!

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