プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

日本共産党幹部会声明  情勢の進展に即した現実的な方針

2009-07-17 16:26:37 | 政治経済
日本共産党の志位和夫委員長は16日、国会内で記者会見し、来るべき総選挙にのぞむ基本的立場を明らかにした幹部会声明、「自公政権を退場に追い込む決定的な“審判”をくだし、新しい日本の進路の“選択”にふみだす選挙に」を発表した(「しんぶん赤旗」2009年7月17日)。自公政治に代わる新しい政治の中身を探求する新しい時代において、かつての「民主連合政府綱領」のように政治革新の中身を提示し、国民多数の支持の獲得を目指す主体的力量は、いまの共産党にはない。都議選の結果は、近く総選挙がおこなわれるならば、いまの政党の力関係からいって、民主党中心の政権が生まれる可能性が大きくなったことを示している。そうした新しい政治局面で幹部会声明は、総選挙にのぞむ日本共産党の基本的方針を明らかにした。情勢の進展に即した現実的な方針といってよいだろう。

幹部会声明は、新しい政治局面のもとでたたかわれる総選挙で、日本共産党は“審判”と“選択”の二つを訴えてたたかうという。
一つは、自公政権を終わらせるきっぱりとした“審判”を下すことである。国民が麻生・自公政権を見放しているのは、たんに首相の個人的資質の問題や、スキャンダル、政権運営の失態など個々の問題にだけ原因があるのではない。「使い捨て自由」の不安定雇用を広げ、社会保障費抑制で医療・介護・年金を深刻な危機に陥れ、庶民には巨額の負担増を押し付けながら大資産家・大企業にゆきすぎた減税をおこなう――90年代から続いた多国籍大企業中心の新自由主義「構造改革」政治が、日本社会全体に弱肉強食、貧困と格差を広げ、このままでは、国民大多数の窮乏化と社会の分裂をとめられない。米軍基地を強化し、自衛隊の海外派兵をすすめ、憲法を改定して海外での武力行使を可能にする道をすすめる――異常な「日米軍事同盟絶対」「軍事大国化」の道は、変化する世界の現実に対応できず、日本経済の再建のためにも深刻な障害をもたらす。

いま一つは、自公政権を終わらせた後に、それに代わってどのような新しい政治をつくるのか、21世紀の日本の「進むべき道」の“選択”の問題である。日本の政治はなぜ今日のような深刻な行き詰まりに直面しているのか。グローバル資本主義体制のもとで、多国籍大企業の利益だけを優先し、国民経済・国民生活をないがしろにし、多国籍大企業の秩序維持を押し付けてきたからである。多国籍大企業の搾取と収奪を国内的にも国際的にも規制しなければならない。国内的には、国民の生活と権利を守る「ルールある経済社会」を築く。そのために異常な財界・大企業中心の搾取と収奪に社会的規制を加える。対外的には、憲法9条を生かし、世界とアジアの平和に貢献する「自主・自立の平和外交」に転換する。そのためには異常な「軍事同盟絶対」の政治から脱却し、世界の人民と連帯することである。

21世紀の日本の「進むべき道」の方向性は明瞭であるが、「国民が主人公」の立場にたった民主連合政府をいますぐ実現する政治的条件は残念ながら主体的に熟していない。国民の当面の関心は自公政権を終わらせたいということである。現状では総選挙の結果、民主党中心の政権が成立する可能性が大きい。民主党は、政治路線、政治体質は支配階級の政治的代理人という点で自民党と「同質・同類」の問題点をかかえる党である。自公政治に代わるどのような新しい政治をつくるのか。日本経済と日本外交でどのような改革をおこなうかが見えないことに加え、消費税増税への志向、憲法9条の改定、衆院比例定数削減など反国民的で危険な方針を表明している。しかし、国政においては、自公が与党で、民主党は野党である。実際に国民の利益に反する政治を実行している担い手となっているのは自公であり、国民世論の監視の如何によっては、民主党の政治は国民寄りにも支配階級寄りにもなると考えるのが現実的であろう

そこで、民主党中心の政権が成立した場合、日本共産党は独自の建設的野党として、三つの仕事に取り組む方針を明らかにした。(1)国民の切実な要求を実現する立場から政策要求を積極的に提起し、課題ごとに一致点で協力し、政治を前に動かす「推進者」の仕事、(2)民主党が危険な諸政策を具体化する動きを起こしたさいに、それを許さない「防波堤」となる、(3)「国民が主人公」の立場にたった民主的政権――民主連合政府をつくるための国民的共同を探求、前進させるために力をつくすことの3つである。

民主党中心の政権ができた場合、共産党が民主党政権から提起された政策について、受け身で対応を決めるというのではなくて、能動的に働きかけ、少しでも国民の利益にかなった良い施策を提起する、同時に、悪いことには断固反対という立場で、それをくいとめるために力を尽くすということだ。共産党がこのような“行動する是々非々”の立場を発揮するためにも、民主党一人勝ちは危険である。「政権交代」は必要だが、「大連立」の悪夢を避けるためにも共産党の躍進が絶対に必要である

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。