プロメテウスの政治経済コラム

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西松建設元社長に有罪 献金した側は有罪 「政治とカネ」の問題は政党選択の重要な基準

2009-07-24 21:06:22 | 政治経済
衆院が解散され、政局は8月30日の投票日に向かって選挙運動一色である。東京地裁は17日、準大手ゼネコン「西松建設」の違法献金事件で、政治資金規正法違反などの罪に問われた同社元社長の国沢幹雄被告(70)に禁固1年4月、執行猶予3年(求刑1年6月)の有罪判決を言い渡した。政治資金規正法の規制を逃れるために、「西松」直接名ではなく、ダミーの政治団体を使って献金したり、パーティー券を買っていたというものだ。カネの出し手が規正法違反で有罪になったのなら、受け手の政治家の側も有罪ではないのか。検察のやっていることはよく分からない。
「政治とカネ」の問題は、投票権の数で勝てない支配層が、政治家を買収し、その政治家を通じて大衆を買収するもっともオーソドックスな手段である。普通選挙の結果を強権的に歪めることができない民主主義国で、「政治とカネ」のスキャンダルが普遍的に見られるのは、そのためである

国沢元社長に対する判決では、同被告がダミー政治団体を使って小沢一郎民主党前代表側や二階俊博経済産業相側に資金提供したことを、「政治資金の収支を透明化することで政治活動の公明と公正を確保しようとした法の規制をことさら免れた」と批判。小沢氏側への偽装献金について、岩手・秋田両県の公共工事受注業者の決定に強い影響力を持っていた小沢氏の秘書らと良好な関係を築くためだったと指摘。小沢氏側のゼネコン談合組織への影響力を認定した。
パーティー券の購入については、二階氏と「西松」が20年来の付き合いで、パーティー券購入も工事受注に有益な情報収集を期待したためだったことなどを明らかした。
献金した側の有罪が明らかになったのだから、受け取っていた政治家の側の責任も問われると考えるのが常識だと思うのだが、検察の対応はよく分からない

小沢氏の公設秘書は、「西松」からの献金を実態のない政治団体からの献金と偽って届け出た容疑で、逮捕・起訴されている。ところが、東京地検特捜部は当初、小沢氏の献金だけを捜査し、二階氏の件は、ほとんど捜査せず、起訴猶予とした。特捜の狙いが、「西松」の検挙だったとはいえ、総選挙を控えて、現職閣僚の方は大目に見て、野党党首の方だけを問題にするのは、「国策捜査」だといわれても仕方がない。そこで、東京第3検察審査会は6月18日、国沢幹雄被告について「起訴相当」と議決した。このとき、二階側の当時の会計責任者で元国家公安委員長、泉信也参院議員や担当者らの不起訴処分については「不起訴不当」という灰色の議決をした。そこで検察は、「起訴相当」といわれた国沢被告については、起訴猶予を撤回し、ダミーによるパーティー券購入を違法として追起訴して今回有罪となった。しかし、「不起訴不当」の二階氏側は、起訴猶予(嫌疑不十分)のままとなった。

5月21日に施行された改正検察審査会法は11人の審査員のうち、6人以上が不起訴を不適当と判断すると「不起訴不当」、8人以上が起訴すべきだと主張すると「起訴相当」と議決する。議決後、検察が再度不起訴とした場合、さらに検察審査会が「起訴相当」と議決すると、裁判所が指定した弁護士が容疑者を起訴し、公判で立証活動を行う。「不起訴不当」の議決には法的拘束力はない。同じ受け取り側でも、小沢側は起訴、二階側は不起訴のままである。

小沢氏の公設第一秘書の大久保隆規容疑者の裁判は、「国策捜査」の批判を避けるために、総選挙後に開始されそうだ。 国沢幹雄被告の証言によれば、西松建設による二階経産相側への支援は、同社最高首脳の引き継ぎ事項であったらしい。二階氏と西松建設の付き合いは、ダミー団体「新政治研究会」(1995年設立)、「未来産業研究会」(同99年)よりはるかに古い20年来の関係である。検察は、二階氏秘書が、「西松」にパーティー券を買ってほしいと依頼したことを把握している。「西松」にパーティー券を買ってほしいと依頼しておいて、政治団体の購入を装ったのは知らなかったなどというのは通用する話ではない

考える有権者にとって、「政治とカネ」の問題は無視できない判断基準の一つである。その政党や政治家が財界・大企業や特定の企業によって買収されているということは、国民と支配層との対立が鮮明になる政策問題において、それらの政党や政治家は国民の側には立たないということを証明しているからである。公共工事の発注先が「西松」になろうがどこのゼネコンになるかは、たいした問題ではない。しかし、財源が逼迫しているときに、無駄な公共事業に予算をつけるか、福祉や教育に予算をつけるかは、国民にとって大問題である。私たちは、比例代表選挙でどの政党の名前を書くかを決めるとき、選択基準として、その政党が財界・大企業から献金をもらっているかどうかを(十分条件ではないが)必要条件としなければならない所以である。

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1 コメント

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welcome to myspace (Lily)
2009-07-24 21:09:43
中国の文学史上では李白と杜甫は、唐代の詩の最高レベルを代表する人物とされる。
http://www.songyun.org
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