プロメテウスの政治経済コラム

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「政権とればISAF参加」 小沢代表独特の解釈改憲をそのまま認めるわけにはいかない

2007-10-06 20:11:17 | 政治経済
福田首相は、所信表明演説で改憲にふれることができなかったが、2010年の改憲案発議のスケジュールを諦めたわけではない。5日の参院本会議での社民党・福島瑞穂党首の代表質問に対する答弁で「憲法改正についても議論がなされるべきだ」と改憲に前向きな姿勢を示し、任期中に改憲を目指すかについての質問には答えず、改憲について「時代の変化を踏まえ、将来を見据えながら、新たに加えるべきものや改めるべきものがあれば、憲法改正についても議論がなされるべきだと考える」と答弁。「(改憲手続き法の)本格施行となる3年後に向け、国民の間で、そして与野党においても、議論が深められることを期待している」と改憲議論を促した(「しんぶん赤旗」同上)。
海上自衛隊のインド洋での給油活動に対し、テロ特措法の延長であれ、新法であれ、継続に反対の民主党の小沢代表が、アフガニスタンでのテロとの戦いに日本としてどうかかわっていくべきだと考えるのか、意見表明を迫られたことは理解できる。しかし、小沢氏の90年代改憲論の蒸し返しは、改憲派の論議を勢いづけ巻き返しに一役買うことは、間違いなかろう。

90年代改憲は、1990年8月26日、当時自民党幹事長であった小沢氏が、湾岸戦争への日本政府の対応がなっていないとして官邸に乗り込んだ時から、幕を開けたと言ってよい小沢氏は、憲法の根本的見直しによる人的貢献の必要を強調して、こう海部首相に迫った。「日本として現憲法下で何ができるのか、正面から堂々と議論すべきだ。憲法がうたう恒久平和の追求は、国連憲章と合致するのだから、現行法でも自衛隊の中東への派遣は可能だ。集団的自衛権とは違う」と。ここには、後年のいわゆる小沢調査会で展開する解釈改憲の基本的骨格が表明されている(渡辺治「90年代改憲論のねらいとその特徴」『「憲法改正」批判』労働旬報社1994)。
90年代改憲は、自衛隊の合憲性はもはや当然のこととして、自衛隊の海外派兵、とりわけ国連の提起にそった共同行動への参加をめざすものとしてはじまった憲法見直しのロジックとしては、「国際貢献」「国際責任」論が最大限使われた。当時の西岡武夫・自民党総務会長は、湾岸への自衛隊の派遣を、地域社会でのドブ掃除にたとえて「みんながそれに参加しなければ地域社会は成り立ちません。金持ちはカネだけを出すでは済まないのです」、憲法がその障害になっている場合には、「憲法をどうするか考えるべきなんです」と述べた(渡辺 治 同上)。

憲法9条の解釈見直しの論拠に憲法「前文」が使われたことが、90年代改憲論の共通の特徴であった。憲法9条が、国際社会において日本の「国際貢献」「国際的責任」を逃れるための「免罪符」となってはならない、としたうえで、たとえば読売社説(90年8月29日)は「前文」の「国際社会において,名誉ある地位を占めたいと思う」の部分を取り出し、自衛隊も出さずに日本は国際社会において「名誉ある地位」をしめることができるのかと言い、「国家の名誉にかけ,全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓う」の部分を引用して「全力をあげると誓いながら、それを達成する手段(9条解釈)を半世紀近く前のままに放置し」ているのは政府・国会の怠慢だと論難した。そして、「国連」の諸活動への自衛隊の参加は、憲法「前文」の精神に照らして合憲だと結論づけた(渡辺治 同上)。イラク派兵を憲法前文で合理化した小泉首相のレトリックの源はここにあった。

小沢氏も、「国連の要請に応じて出動し、国連の指揮下に入る」限りは違憲でなく、むしろ「憲法の精神に合致する」という。憲法が禁止したのは「国権の発動たる武力行使」であって、「日本国が国権の発動として自衛隊を指揮命令するのではなく、自衛隊そのものをすべて国連の指揮下にゆだねるもの」はこれに該当しないと主張した。
こうして、小沢氏は、インド洋での給油活動は、「国連活動でもない米軍等の活動に対する後方支援」であり、「集団的自衛権の行使」にあたり「憲法上できない」が、他方でISAFは「国連の決議によってオーソライズ(承認)されたもの」であるから、「結果的に武力の行使を含むものであっても憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致する」という。

国連のお墨付きがあれば武力行使に参加できるというのは、自衛隊が日本の軍隊であるかぎり、憲法9条②項違反であることは明らかである国連は主権国家連合組織であって、世界国家ではない

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1 コメント

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Unknown (冷静)
2007-10-07 10:51:43
ま、支離滅裂の小沢さんの真骨頂ですな。そういう人がトップににつく党ですから・・・。要するに、テロ特措が政局になったときに賛否どちらになっても言い訳できるようにしたんでしょ。人の命をもてあそぶというのはこの人のやってることをいいます。
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