プロメテウスの政治経済コラム

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岩国基地を巡るウソ―市民を欺いてはならない

2006-03-08 17:41:02 | 政治経済
岩国基地では現在、沖合移設(拡張)工事が進行しています。政府は、工事の目的を「騒音や安全性の問題を改善・除去するため」であり、「基地機能強化を意図したものではない」と説明してきました。これがウソであることを小泉首相が7日の参院予算委員会で認めました。夜間離着陸訓練(NPL)は低騒音の早期警戒機E2Cだけであり、基地周辺の生活環境が現状より悪化することはないというのもウソであることを北原巌男防衛施設庁長官が認めました。

7日の参院予算委員会で日本共産党の市田忠義書記局長は神奈川・厚木基地から空母艦載機57機が移転すれば、常駐する戦闘攻撃機は沖縄・嘉手納基地を上回る100機体制となり、米軍機や自衛隊機を合わせると130機にものぼることを示し、「基地機能強化を意図したものでないといいながら、世界最大級規模の基地になる。(これは)基地の強化そのものではないか」と追及しました。小泉首相は「新たにもってこられた地域では負担になりうる」と答弁。約束違反の基地強化であることを事実上認めました。

岩国基地で夜間離着陸訓練(NLP)をおこなうのは、低騒音の早期警戒機E2Cだけだとする防衛施設庁の説明に関しては次のようなやり取りがありました。
市田書記局長 E2C以外のNLPは絶対にやらないと断言できるか。
北原防衛施設庁長官 硫黄島で天候不良等により十分な訓練が実施できない場合には実施されることがありうる。
市田氏は「ジェット戦闘機によるNLPをやる場合があると認めた。重大だ」と指摘しました。

もともと「夜間離着陸訓練(NLP)」にはいくつかの誤魔化しがあります。離着陸訓練は夜間だけではなく、昼間もあります。さらに政府のいう夜間や昼間の「離着陸訓練」とは、パイロットが空母への着艦を正しくできるかどうかについて評価する、いわば「技能検定」試験のことで、訓練兵は、腕を落とさないために事前に徹底的に練習をする必要があります。そのために、艦載機が滑走路に着地した瞬間に、エンジンを最大限ふかして再び急上昇するタッチ・アンド・ゴーを頻繁に繰り返すのです。これは硫黄島ではなく、厚木基地や岩国基地でおこなわれるのです
市田氏は、NLP実施前の事前訓練による厚木基地周辺の騒音発生状況(一カ月間)を質問。電車の通るガード下に相当する100デシベル以上の爆音が、04年6月8日―7月6日の間で1196回(一日当たり41・2回)、04年12月19日―05年1月17日の間で1499回(一日当たり50・0回)にも達することを明らかにしました。

防衛施設庁が、爆音被害が小さいことを示そうと空母艦載機部隊が移転した場合の「騒音予想図」を地元に示していることについては次のやり取りがありました。「騒音予想図」には、世界文化遺産・厳島神社のある宮島が、騒音が及ばないかのように、すっぽり外されています。
 市田氏 今でも日本が世界に誇る世界文化遺産の上空を、戦闘攻撃機がわが物顔に飛びまわっている。絶対に騒音の被害はないと言いきれるか。
 北原長官 確たることを申し上げることは困難だ。
市田氏は「『これからも飛び続けます』と言っているのと同じだ」と指摘しました

しかも、この騒音予想図における米軍機の飛行経路は、95年当時に米側と調整したもの。昨年10月に打ち出した在日米軍再編計画では、95年当時とは全く異なり、新たに57機もの空母艦載機部隊が飛びまわることになるのです。
 市田氏 (改めて)米側と飛行経路を相談したのか。
 額賀福志郎防衛庁長官 飛行経路については、日米間で協議中だ。
 市田氏は「10年前の飛行経路で大丈夫だといっても、国民はだれも納得しない」と批判しました

12日の岩国住民投票を目前にして市民を欺くことは許されません。岩国市と同じように米軍機の騒音被害を受けている東京・町田市や厚木基地周辺の住民からも、「住民投票は、世界にこの移転計画の大義のなさを訴えるすばらしい取り組みです」「艦載機部隊は移転ではなく自国に帰ってほしい」「日本中の人たちにとって重要なたたかいです」「いろいろな妨害や圧力があると思いますが、屈することなく成功させてください」との激励の声が寄せられています。




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1 コメント

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Unknown (通りすがり)
2006-03-08 19:22:38
世界最大級の攻撃機ってなんなんですかね
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