プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

小沢元代表 強制起訴   小沢氏強気の背景に何が  「敵の敵は味方」で小沢?

2011-02-01 21:05:31 | 政治経済

検察審査会の起訴議決公表から約4カ月、小沢一郎民主党元代表が1月31日、自らの資金管理団体の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で起訴された。小沢氏は、強制起訴を受け国会内で記者団に「今後も国民の生活が第一の政治を実現するために、民主党の国会議員として努力する」と述べ、離党や議員辞職を否定した。「何一つやましいことはない。裁判で無実が明らかになる」と強気である。執行部が処分を検討していることについても「(強制起訴は)一般の検察の起訴とは全く異質だ」と指摘。自分の元秘書の石川知裕衆院議員が起訴されて民主党を離党した前例などとは異なるという考えを示した。野党が要求している国会招致についても「今後は公開の法廷で真実を述べる」と、応じない姿勢である。

 

世論の風当たりは依然強いが、小沢氏が離党も議員辞職もしないと強気なのはなぜか
小沢氏の強気の背景にはいろんな要因が考えられる。

第一に小沢氏は自分の無罪を確信していることである。彼は、名うての金権政治家である。「政治資金規正法」がザル法であることを熟知している。政治資金規正法には、提出すべき書面に虚偽の記入をした者については、罰則規定があるが、代表者の連座制の規定がない(会計責任者の選任及び監督について相当の注意を怠つたときに罰金があるだけ)。虚偽記載容疑に関し、現行犯ででもない限り「共謀共同正犯」を立証することはほとんど不可能である。「秘書任せ」が通用するのが政治資金規正法なのだ。小沢氏に対する疑惑の核心は、みずから提供したといわれる土地購入資金が一体どこから出たかということである。検察審査会は、資金の出所を明らかにしない小沢氏の供述を、「虚偽記載の動機があったことを示している」と批判したが、東京地検特捜部は、この資金の原資や流れを解明するという気の遠くなるような困難な作業を放棄した。密室でどやしつけ自白を強要するような連中には元々できない仕事であった。小沢氏は、証拠不十分で無罪なるということを確信しているのだ

 

第二に、菅・民主党執行部が如何にいい加減であるかは、少し政治に関心のある者なら皆知っているということである。菅政権は米国、財界、マスコミの応援にもかかわらず、今や瀕死の重傷である。菅氏は、首相の座の獲得に至上の目標を置き、首相の座につくまでは、嫌いな小沢氏に媚を売り、普天間問題でも沈黙を守っておきながら、首相の座に着くや、その維持のため、財界・アメリカの意を汲んで構造改革復帰、消費税、法人税改革、日米同盟復帰を鮮明にするような男である。小沢氏処分を巡って、民主党執行部が右往左往しているのは、反小沢の国民世論を自分たちの政権浮揚に利用しようとしているだけという彼らの小賢しい企みを知らないものは誰もいない。小沢氏には、『日本改造計画』以来の野望がある。小沢氏が政治生命を賭して狙っているのは、日本の「改革」を推進する強力な政治体制づくり、具体的には「改革」を競い合う強力な保守二大政党制、多数党に裏付けられた強力な政府、「改革」法案をところてんのように通す、国会づくりである。この仕事は、自分を置いて菅らの小物には到底できないと小沢氏は確信しているのだ

 

第三に政治をある程度識る人びとの間で、小沢氏は人気があるということである。アメリカは、ジャパンハンドラーズと日本の官僚、マスコミを使って、アジアやロシアにじわりと重心を移すこと(アメリカからはそれだけ離れる)、海兵隊基地を従来どおりには提供しないことを掲げた鳩山前首相を結局、潰すことに成功した。「アメリカとの対等の関係」「米軍のプレゼンスは第7艦隊だけでいい」そして「辺野古は無理、もう一度話し合う」などの発言する小沢も同じである。菅は、早々にアメリカへの恭順の意を示す「愛(う)いやつ」と成り果てた。権力のためなら手段を選ばない菅の人間性、小沢の野望の危険性、どちらに転んでもお先真っ暗なら、せめて対米従属の卑屈さからの脱却の一点に賭けて、米英がいやがる小沢のほうがましだという人気である。「敵の敵は味方」というところか。
小沢の政治力は、カネにまつわる古い自民党的体質で築き上げた政治力ではあるけれども、アメリカの逆鱗に触れて、スキャンダル情報爆弾を投げつけられ失脚の危機にあるのは見るに忍びない。「民主党と自民党は『全く異なる』」どころか、自民党より自民党らしい「戦後最も親米的な政権」をつくりあげ、これで鳩山の二の舞は踏まずにすむ、それどころか政権の座に長く居座れると、ほくそ笑む菅への嫌悪感、現在の翼賛的国会状況への危機感がそれだけ強いということだ


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。