プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

先が思いやられる国会論戦    “対決”を演出するがその実は“翼賛”

2011-02-02 19:21:55 | 政治経済

菅首相は施政方針演説でTPP参加と「税と社会保障の一体改革」の名による消費税増税などを強調。「大きな課題に対策を講じる責任は、与野党の国会議員全員が負っている」と早々と与野党協議に応じるよう呼びかける中、国会論戦の”花形”、予算委員会の質疑が始まった。予算は一年間の国政の在り方のあらゆる部面にかかわるから、予算委員会では国政のあらゆる重要事項についての審議が行われる。テレビ中継され、翌日の新聞が報道する。質問に立つ与野党の議員が国民の視線を意識して張り切る場である。ところが、この予算委員会の論議がなんとも低調である。議員定数削減で今よりさらに二大政党制が進んだら、愈々、毎回このような「二大政党」の不毛な対決“と”翼賛“ぶりを見せつけられることになるのだろうか

 

予算委員会の論議が何故これほど低調でつまらないのか。

それは菅・民主党がなりふり構わず自民党化しているからだ。自民党の政策を何でも飲むから首相にとどまらせてくれといわんばかりに政策作りを一緒にやろうと繰り返し、議論を逃げているからだ。一方の自民党は、政策を丸呑みされたから攻め切れない。消費税を愚直に唱えて政権を手放した事を悔やむ。>(天木直人ブログ「どこが熟議の国会だというのか」20110202)。

自民党の野田毅元建設相が「わが党はすでに前の参院選で消費税10%を公約している。すでに『ルビコン川』を渡った」と解散とセットで増税を迫れば、菅首相が「自民党が10%を明示されたのは勇気のある決断だった。(だからこそ)与野党の議論をしたい」と答える。「まず、民主党も消費税の引き上げを掲げて審判を受けろ」という野田氏に対し「与野党で合意して引き上げよう」という菅首相
消費税を上げないといって政権を取ったとたんに豹変し、自民党と同じように消費税を上げると言い出した菅・民主党の狡猾さに対し、消費税を唱えて政権を手放したことを悔やんでいるようにしか見えない

“消費税増税のための解散”と“解散の前にまず増税計画を”とどこに違いがあるというのか。大企業・富裕層の負担を軽減し、大衆に負担増を強いるという歴史的に破たん済みの「公平」原則に立ち、金持ちを擁護するという点で両者に違いはない。だから“対決”とはならず“翼賛”となるのだ。

 

政府・与党は131日、社会保障と税の「一体改革」を議論する社会保障改革検討本部の下に「集中検討会議」(議長・菅直人首相)を設置し、幹事委員として民間から10人を起用することを決めた。このメンバーを見て驚いた。自公政権で厚労相を務めた柳沢伯夫氏(城西国際大学長)など、自公政権下で政策づくりの中心にいた顔ぶれが並んでいるからである(「しんぶん赤旗」201122日)。

柳沢氏は安倍内閣で厚労相を務め、社会保障費削減を推進した人物である。「社会保障を現状維持するのは極めて困難」、「日本の(経済力低下を反映した)身の丈レベルに社会保障給付を合わせる手だても必要だ」と給付の削減を主張し、消費税率は「15%近くに」上げるべきだという。菅議長は、与謝野氏に続く、元自民党有力者を取り込んだ。

福田・麻生内閣で「社会保障国民会議」で議長を務め吉川洋東京大大学院教授、同会議メンバーの清家篤慶応義塾長、奥田碩トヨタ自動車相談役の後継の渡辺捷昭トヨタ自動車副会長が再び招聘された。成田豊電通名誉相談役は、消費税の目的税化を求めた麻生内閣の「安心社会実現会議」の座長。宮本太郎北海道大大学院教授も委員だった。

これでは、議論の先は見えている。大企業や富裕層という強者に有利で弱者に重い消費税によって社会保障をまかない、社会保障削減か消費税増税かの最悪の二者択一に国民を追い込む―。自公政権下で、こうした立場からの政策を一貫して打ち出してきたのが、これらの人物である。

 

「大企業や富裕層にたいする課税強化は、税負担を嫌う企業の海外脱出や富裕層の資金逃避を呼び起こす」というグローバル資本主義の脅しに屈して「税制の空洞化」をなすすべのないものとして諦めている限り、日本社会の未来の展望はない。奈落に沈むのがいやなら消費税ではなく、「所得・資産税制の空洞化」を逆転して、応能負担原則にたった垂直的所得分配の構造を政治の力で取り戻すほかない。「二大政党」の不毛な対決“と”翼賛“には、絶対に期待できない。国民の覚醒を期待したい。


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2 コメント

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あはは、アンタに言われるとはねぇ (isoroku&tsu)
2011-02-03 00:16:50
まあ、相変わらずですねェ~。

所で、宮崎も北陸、東北、北海道でも自衛隊さんが引っ張り凧ですが、駐屯地の前に行って、『低俗な、歴史意義を持たぬ、暴力装置は』出動反対ぁ~~~い・・・位の活動されたら如何??????。
袋叩きに会うでしょうが、其れくらいの覚悟はお有りですよねぇ!。
ヤッパ、無理か。アハハハハ。
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どうなさったんですか (isoroku&tsu)
2011-02-04 03:11:20
どう、なさったんでやら。
奇跡ですね。当方の書き込みが公開されるなど。
まあ、貴殿系の方々の遣り方はパターンとして認識しており、何をやられても、どうと言う事はありませんが。

処で、当貴記事において、下線部分については、句読点等全く無く、拙がガキの頃に見たサヨク(親の金で大学その他行きながら、その親の金を稼ぐ行為を帝国主義とか訳解らん理屈で貶めていた、爆弾大好きな輩共)の小汚いプラカードと一緒で全く意味不明なんですが?、貴殿ほど頭の良い方なら、拙如き自衛隊員を尊敬する(貴殿に言わせればバカな)愚かな者にも解るよう解説するのは、簡単でしょう?。
どうにも理解に苦しむのですが。
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