プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

いよいよ走り出した裁判員制度   私は絶対に任官拒否するつもり

2008-04-15 19:16:05 | 政治経済
政府は15日の閣議で、裁判員法の施行日を来年5月21日とすることを正式に決定した。同日以降に起訴された殺人、強盗致死などの重大事件について、原則として、くじで選ばれた国民6人が裁判員として裁判官3人とともに審理に参加し、有罪無罪と刑の重さを決める。来年の裁判員候補者には、今年中に通知が出される。具体的な事件の候補者に選ばれると、初公判の6週間前までに呼び出し状が届く。裁判員裁判の初めての公判は来年7月下旬~8月上旬とみられている(「時事通信」4月15日11時1分配信)。殺人など重大な刑事事件の裁判で、国家権力の一つである司法権力の片棒を担ぎたくないから、私はなんと言われても裁判員にはならないつもりだ。いま必要なことは、冤罪の多発などで信用を失墜してしまった警察、検察、裁判所にまともな裁判をやらすことであって、彼らの片棒をかついで、死刑や無期懲役を宣告して他人の人生を左右することではない。

裁判員は衆議院議員の公職選挙人名簿より抽選で選ばれ、思想・信条・能力にかかわらず選任される。選任に際して虚偽申告した場合、刑事罰として罰金に処せられ、選任された場合に正当な理由なく出頭しなければ行政罰として過料に処せられる。私のように「やりたくない」者も抽選によって「強制」されるのである。
04年3月、裁判員法の法案提出に先立って行われた法務省の自民党総務会での法案説明に対し、やりたくない者を強いて裁判所にひっぱりだすのは問題だという声が党内から上がった。そして政府は、思想信条により辞退できる場合を政令で定めることを約束させられたしかし、本年1月17日に公布された政令では、思想信条を理由にして裁判所出頭を拒むことが基本的にできないこととなった政府の明確な約束違反である政府広報やマスコミを動員して国策推進の努力をしているにもかかわらず、反対や消極の意見が根強く、政令案を準備する段になって、いやならやらなくてもよいなどと鷹揚に構えていられなくなったのだ(高山俊吉・弁護士「破綻しつつある裁判員制度 これだけの問題点」『日本はどうなる 2008』金曜日)。その結果「自分や第三者に身体上精神上または経済上の重大な不利益が生じると認めるに足る理由がある」ときというわけのわからない規定となった。裁判官がどう判断するかでどうにでもなるのだ。

一般市民を司法へ強制動員して政府はなにを狙うのか。小泉内閣以降の急進的な新自由主義「構造改革」による社会統合の分裂・破壊は、子どもと若者の家族、学校、会社、社会への帰属意識の顕著な後退、犯罪の増加などの「社会的危機」を一気に顕在化させた。裁判員制度は、社会統合の危機を国民参加というかたちで、「治安のよい社会」を支配階級とともに日ごろから自分の問題として考える国民精神総動員の一環としてたくまれた。思想信条を理由にして国策に逆らうことは、絶対に許せないのである。国家が絶対に許せないといっているので、私は絶対に拒否するつもりである
裁判員制度は、被告人にとっても迷惑きわまりない。被告人には裁判員裁判を選択する権利はない。裁判員制度は被告人のための制度ではないからである。この点は欧米の陪審員制度などと全く異なる。法律の素人が、本職の裁判官とどれだけ対等に議論できるのか。事実認定は相変わらず、警察、検察の思いのままである。取り調べの一部始終をビデオ録画やテープ録音し、後で検証できるようにすることをいくら要求しても自分たちの都合をいうだけだ

裁判員候補者は抽選で選ばれると、まず質問票に回答し裁判所に返送する。この質問票においては、欠格事由・就職禁止事由・事件に関連する不適格事由・辞退事由などが質問されることになっている。私は、自分の目で確かめることができる現行犯以外は、一切信用しないので、欠格だといってがんばるつもりである。場合によっては、病院の診断書が効果があるかも知れない。
裁判員制度は、国民が裁判員として参加しなければ成り立たない。そのため最高裁や法務省は、国民をなんとか取り込もうと、来年に向かって“ヤラセ”や“サクラ”を使ってでも必死になって働きかけてくるだろう。この制度のスタートを止めさせるためには「裁判員はいやだ」というみんなの声を大きなうねりに発展させることである。 嫌なものはイやと素直になることだ。

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2 コメント

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Unknown (miya)
2008-12-02 17:56:44
自民党が国民の総意ではなく、党の総意を強制することがこれではっきりしたのではないでしょうか。
今こそ民主党の力が必要です。
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確か、、 (pic)
2009-05-22 14:06:09
民主党も賛成したはずですが、、、
http://www.dpj.or.jp/news/?num=10611
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