プロメテウスの政治経済コラム

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耐震強度偽造―不正生む規制緩和が問題

2005-11-25 19:58:41 | 政治経済
マンションやホテルの耐震強度偽造問題で国交省は24日、姉歯秀次・一級建築士の聴聞会を開きました。姉歯建築士は「取引先3社から鉄筋の量を減らすよう指示された。断ると『他の事務所に変える』と言われた」と証言、施主・施工側などからの“圧力”があったことを明かにしました。安全に怯える住民を無視した当事者間の“責任なすり合い”が泥沼化しそうです。「建築確認」という生命や安全にかかわる大事な仕事を民間検査機関任せにする規制緩和がもたらした犯罪といっても過言でないでしょう。
村上ファンドのような金融資本は本質的に寄生性と腐朽性を持つが、ものをつくる資本には、最低限のモラルがあると思っていましたが、裏切られた感じです。設計のうまい下手は、鉄骨やコンクリート量に影響することは確かです。しかし、それは建築基準法等の法令の枠内の話であって、勝手に仕様を落としての設計競争は、もはや犯罪であって競争ではありません。国交省によると、姉歯建築士は聴聞会で、大口取引先の幹部の実名を挙げて鉄筋の量を減らすよう「圧力」があったと“暴露”したそうですが、施主や施工主に聞けば、確かに鉄筋の量を減らすよう指示したが、建築基準法等の法令違反をしてもよいとは言わなかったと答えるに決まっています。やはり、問題は偽造計算書をまともにチェックしなかった民間検査機関ということになります。建築確認の審査を民間の検査機関イーホームズ(東京都新宿区)に頼んだことについて、姉歯建築士は、「厳しいところと甘いところがあるので、イーホームズにした」と述べ同社の審査の甘さを指摘しています。同社は、構造計算書に添付すべき国交省の「大臣認定書」や各ページに印刷される「認定番号」がなかったにもかかわらず、まともに検査していなかったようです。検査コスト削減のために検査をしない、それが規制緩和だとしたら、こんな恐ろしいことはありません。さらに、「赤旗」の調査によれば、民間検査機関49のうち株式会社形態40社の資本関係が判明した11社が大手ゼネコン・ハウスメーカー・建材メーカー等の出資を受けていたとのことです(「赤旗」05.11.25)。これで、公正・中立的な検査が保証されるのでしょうか。建築確認制度のあり方を原点にもどり再構築すべきでしょう。

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