プロメテウスの政治経済コラム

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米予算教書  ブッシュ政権のもと財政赤字は最高水準  石油業界や軍需業界は絶好調

2008-02-05 18:32:41 | 政治経済
ブッシュ米大統領は4日、軍事費拡大を柱とした2009年度(08年10月―09年9月)の予算教書を議会に提出した。景気後退の懸念が深刻なもとで、約1500億ドル(約16兆円)の戻し減税策も盛り込まれ、歳出総額は3兆1070億ドル(約330兆円)。この結果、財政赤字は、今年度および来年度とも4千億ドル(約42兆円)前後が見込まれ、過去最大だった04年度(4127億ドル)に迫る見通しだ(「しんぶん赤旗」2月5日)。国防予算はブッシュ大統領が就任した01年度と比べ約1・7倍に増加。国内テロ対策に用いる国土安全保障費には376億ドルを要求、こちらも01年度比約2・7倍に膨らんだ(「東京新聞」2月4日 23時29分)。よく言われるように、ブッシュがイラクやアフガンで戦争をするのは、米産軍複合体や石油業界のためである。景気減退の懸念もなんのその、石油業界や軍需業界は絶好調で笑いがとまらない

ブッシュ米大統領が4日議会に提出した2009財政年度予算教書で、イラク・アフガニスタン戦費が累計で8691億ドル(約93兆円)に達することが明らかになった。米議会予算局(CBO)によると、イラク、アフガン戦争のために既に拠出されたり、予算として支出されることが決まった歳出の総額は6910億ドルで、既にベトナム戦争の費用(インフレ調整済みで約6000億ドル)を超えた。これに加え、大統領は、08年度と09年度の補正予算で計1781億ドルを追加要求する予定で、戦費が大きな財政圧迫要因となっている(時事通信2008/02/05-01:02)。
09会計年度の国防費は5150億ドル(約55兆円)と、国内総生産(GDP)に占める割合は3.4%。第2次世界大戦後では朝鮮戦争(11.7%)、ベトナム戦争(8.9%)、湾岸戦争(4.4%)に次いで4番目に高い水準となった。これにエネルギー省所管の核兵器関連予算210億ドル(約2兆2000億円)が加わる。この一方で、高齢者や低所得者向けの医療制度であるメディケアやメディケイド予算は抑制、教育予算も伸びは現状のまま。国内政策の各分野では全般に現状での凍結か、インフレ分を除くと実質減である。他の予算項目を抑制する一方、安全保障関連予算の突出ぶりが際だっている(「日経」2008年2月5日15:34)。

CNNMoneyの報道によれば、2007年度エクソン・モービル社がまたしても米国企業史上最高益記録を更新する可能性があるという。「原油価格が1ドル上がるたびに、エクソン社の収益は四半期あたり1億2,500万ドル(約133億4,311万円)上昇する」とのことだ。エクソン社のこれまでの最高益記録は2006年度の395億ドル(約4兆2,180億4600万円)で、その際同社は1分あたりおよそ7万5,000ドル(約800万9,189円)稼いでいる計算になるという。2月1日に石油業界各社が2007年度収益を発表した。それによれば、エクソン社の昨年度収益は406億ドル(約4兆3,312億円)で、予想されたとおり同社の持つ史上最高益記録を更新した。またシェブロン社の収益も前年比29%上昇、英シェル石油も276億ドルと過去最高収益を記録した。石油メジャー5社(エクソン、シェル、BP、シェブロン、コノコ・フィリップス)の合計収益は2002年以来3倍に膨れ上がったという(「暗いニュースリンク」2月5日)。

石油業界だけでなく、軍需・防衛業界にも明るいニュースは続く。AP通信の1月24日付記事のタイトルは『大荒れの市況にあっても、防衛産業は安泰』である。世界市場が苦境に喘ぎ、米国経済が景気後退へぐらつきつつある中、米国内の巨大防衛企業にとって好景気は続いている。防衛産業各社はここ数年記録的な収益を維持しているが、理由の大半は国防総省のイラク及びアフガニスタンでの武器費用の増大に依存している。世界最大の防衛企業であるロッキード社は、2007年度第4四半期収益が10%上昇しており、船舶製造のノースロップ・グラマン社、陸軍用の装甲車から弾丸まで製造するゼネラル・ダイナミクス社も絶好調である(「暗いニュースリンク」同上)。

絶好調の石油業界や軍需業界にとって、次期大統領に誰が選出されるのか、あるいは、誰を次期大統領に選出させるべきか、というのが目下の最重要テーマかもしれない。
デトロイトのある労働者がつぶやいた「民主党でさえ、候補者はみんな大金持ち。アメリカには労働者の党がない。それこそが問題だ」。
共和党大統領候補ジョン・マケインが自ら言うとおり、普通の米国民にとっては引き続き厳しい前途が待っている

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