プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

13都道県知事選挙  自民党との「相乗り禁止」腰砕けの民主党

2007-03-21 19:04:55 | 政治経済
福井と三重は「オール与党」相乗りの構図となった。「オール与党」相乗りの構図となった福井と三重の民主党の態度がふるっている。
福井の民主党は、現知事推薦を決めた会見で「前回は、民主が真っ先に西川氏(現知事)を推薦した経緯があるし…むしろ、西川氏は(自民党より)私たちの候補との思いがある」とまず心情を吐露。民主党県連は、自民党県連が同知事推薦を決めるわずか一日前に党本部に推薦を上申。自民党が(民主の候補に)相乗りしてきたというわけだ。
三重県ではいち早く現知事を推薦、後に自民党も同知事を推薦した。民主党県連代表は、「自民党が擁立した候補に民主党が相乗りしないというのが相乗り禁止」だと苦しい言い訳。地元紙も「珍解釈」(伊勢新聞、06年12月24日付)と首をかしげる(「しんぶん赤旗」2007年3月19日)。

奈良、鳥取、島根、徳島、佐賀、大分の6県では民主党は、独自候補を擁立できずじまいである。
大分県では、独自候補擁立に向けた積極的な議論はなく、県連代表は3月6日の擁立見送りの会見で「(現知事の)四年間を検証したうえで、あえて対立候補を立てる必要は感じなかった」とのべた。奈良県でも候補者擁立に迷走したあげく、断念に。西ふみ子氏(共産党推薦)の出馬表明をうけ、民主党県連会長は「県民の一人として歓迎する」(奈良新聞、2月14日付)とコメント。地元紙は「16年ぶり自共対決」と大きく報じた。
島根県も独自候補を断念。「自民勢力と、それに支えられた県政に対する対立軸を打ち出すことはできなかった」(中国新聞、3月1日付)ということだ(「しんぶん赤旗」同上)。

北海道、岩手、東京、神奈川、福岡など「対立」候補を立てたところでも矛盾だらけである。
都知事選を前にしたにわか「野党」ポーズに、石原慎太郎知事は「ならば今までなぜ都が提案した提案に民主党はすべて賛成をしてきたのか」と皮肉った。
福岡県でも、3期12年、現知事を推薦、この四年間は自公とともに、知事提案に100%賛成してきた。議会で「大きな失政はなく…及第点に達している」(06年12月議会)と知事を評価、独自候補を擁立したあとでも来年度予算案に賛成する始末。これでは何のための独自候補かわからない。地元メディアが「対立軸みつけにくい」(西日本新聞、2月22日付)というのは至極もっともなことである(「しんぶん赤旗」同上)。 

「朝日」などのマスメディアは国政における「二大政党対決」の構図への期待をそのまま知事選に持ち込み、煽ろうとしたがるが、真の対決構図は、大型開発優先・大企業誘致に補助金をつぎ込む一方でくらし・福祉を切り捨てる「オール与党」陣営の候補と、それに正面から対決する日本共産党の推す候補との対決である。
2月の愛知県知事選で、共産党と民主党が協力すれば勝てたのに、共産党はなぜ協力しなかったのかという批判があった。雑誌『週刊金曜日』三月九日号の「山口二郎の政治時評」は今度の都知事選の「最大目的」は、「数々の悪行」を重ねてきた「人間失格の独裁者」である「石原を引きずりおろすこと」であり、「改革派」で「既成政党に乗らない」浅野氏に共産党も協力すべきでとして、東京都知事選挙についての日本共産党の態度を名指しで批判している。
2月の愛知県知事選で現職の神田真秋知事に対立候補をたてた愛知の民主党が選挙が終わったら、どのような態度をとっているか。国の社会保障改悪・国民負担増路線に追随し、暮らし・福祉の独自施策の切り捨て縮小の一方で、大企業奉仕の開発推進が盛り込まれている神田知事の07年度予算に賛成。選挙が終わったら与党に戻ったのだ。
政策協定を締結できないような候補者を責任をもって推薦・応援できないことは明らかだ。
せめて、政治学者には、支配階級が民主党に与えた役割、反共シフトの政治的本質を理解してもらいたいものだ。

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1 コメント

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山口氏の主張と植木氏の反論 (JUNSKY)
2007-03-22 01:08:28
以下は大津留公彦のブログ2
http://ootsuru.cocolog-nifty.com/blog/2007/03/post_abb1.html
への私のコメントの転載です。
*********************
山口氏の主張は論外です。

何しろ石原氏の所業を暴き「石原危うし!」の状況を作り出したのは、「赤旗」の連日の連載と、東京都議会での日本共産党都議団の長期にわたる粘り強い調査と追究があったからで、これをマスメディアも取上げざるを得なくなり、「赤旗の追究に石原白旗」という週刊誌記事まで出たのですから。

ここを無視して、石原を倒すために吉田が辞退せよとは、後出しジャンケンみたいなものです。

吉田氏が浅野氏より後に出馬表明したのならともかく、吉田氏は早くから出馬表明し、石原追究の先頭に立ってきたからこそ、ここまで情勢を切り拓いてきたのです。

当初は出馬するかどうか煮え切らない態度を取っていたくせに、日本共産党と吉田氏が切り拓いてきたそういう情勢を見て、勝てるかもしれないからと、後で立候補を表明した浅野氏の資質にも問題があります。

また、これを持ち上げるマスコミもジャーナリズムの資格が問われます。自らは石原の“威光”を恐れて何ら石原の所業を追究もせず、赤旗に便乗して批判を始めながら、今度は浅野の方が応援し易いと応援団を事実上買って出ています。

憲法9条や教育基本法では自立的に判断されているはずの少なからずのブロガーが、浅野応援団を買って出ているのもうなずけません。
この件では「花のニッパチ、心のままに2」さんもブログに書いています。
http://www.orangeback.net/?p=195

とはいえ、植木氏の反論も、ブロガー諸氏を納得させるには、それほど説得力のある論建てとは思えません。
基本的には浅野氏の政治的立場が石原氏と共通であることを強調するネガティブ・キャンペーンになっていて、
日本共産党がこの情勢を切り拓いてきたというポジティブ面の押し出しが弱いからです。

多くの有権者がネガティブ・キャンペーンには、中身を精査することなく目を背ける、という意識に応えるものとなっていません。

日本共産党は、浅野ネガティブ・キャンペーンではなく、この情勢を切り拓いてきた日本共産党と赤旗と都議団の存在意義と吉田さんが都知事になる意義を強く訴えるポジティブ・キャンペーンに転換するべきです。
もちろん石原批判は、なお一層強化するべきです。
これは、ネガティブ・キャンペーンとは捉えられないと思います。
ブロガー達も徹底的に批判していますから!

まあ、日本共産党は戦術の立て方が相変わらず下手くそですね。綱領(Manifest)に示された戦略は立派なのに!
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