プロメテウスの政治経済コラム

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福田首相、民主党に連立政権を打診   自民、民主による新たな解釈改憲の策動に警戒を!

2007-11-03 19:53:33 | 政治経済
大連立と聞くと、国民はあぜんとしたのではないか。戦術上の都合とはいえ民主党は、夏の参院選では、「反自公」をかかげて選挙をおこない、自民党も民主党にたいする厳しい「批判」をおこなったわけである。両党は参院選で激突し、結果は自公連立政権が過半数割れし、民主党が初めて参院第1党に躍り出たばかりである。遠からず行われる衆院の解散・総選挙では、両党は政権交代をかけて再び激突するものと、ほとんどの国民は思っていたはずだ。その「ライバル」二党が連立ということになれば、「どうしてそんな話が出てくるのか、どういう過程でその話が出て、拒否したとしても、なぜ民主が持ち帰るという事態になったのか、自民、民主の双方が国民に納得いく説明をする必要」があるのは当然だ(日本共産党・志位委員長―「しんぶん赤旗」11月3日)。

私は、民主党の「反自公」は、参院選用の単なる戦術だったのかなと思う。しかし、国民の世論を甘く見てはいけない。党役員会で、「政権交代が目的だ」「国民や支持者の理解が得られない」など反対論が相次いだのは、当然である。民主党の鳩山由紀夫幹事長は、「大連立は大政翼賛会的な話で、国民の批判を受ける」と述べ、あくまで総選挙を通じて政権交代を目指す考えを強調した(「朝日」11月02日23時28分)。
とはいえ、参院の野党優位は今後3年間続く話である。今回は、民主党は拒否を決めたものの、今後の政局が支配階級の思惑とからんだ政界再編含みで展開するのは間違いないだろう。民主党の連立拒否について、町村官房長官は記者団に対し、「ずいぶん早く拒否を決めた。首相が真剣に国を思い、提案したのに、こんなに早くノーという答えが出るとは意外だし残念だ」と意味深な感想を語っている(「朝日」同上)。
大連立構想」浮上の経緯をよく知る自民党幹部は「まだ緒についたばかり。動き出したばかりだから静かに見守りたい」と語る。中川秀直元幹事長も「衆参分断政府の状態の下では当然のことだ」と語った。今後の焦点は「連立」以外の形で民主党から協力を得る方法として、政策別の「部分連合(パーシャル連合)」や「政策別の協議機関構想」がまず出てくるかどうかだ(「毎日」11月2日22時15分)。

今回の連立騒ぎのテーマは、アメリカの軍事活動に対する日本の支援問題に終始したようだ。税制や年金、国民の暮らしの問題は、大連立の関心の外であった。
党首会談で福田、小沢氏は、国際的な平和活動のために自衛隊の海外派兵を随時可能にする恒久法の制定が必要との認識をそれぞれ表明した。小沢氏は会談で国際的な平和活動のために自衛隊海外派遣を随時可能にする「恒久法」の必要性を強調。具体化に向けた動きが始まれば、インド洋での海上自衛隊による給油活動を早期に再開できるよう新テロ対策特別措置法案審議などに協力する考えを示した(「中国新聞」11月3日)。
これは、自民、民主による新たな解釈改憲の策動であり、「非常に重大な事態の進展」(志位委員長)である。

9条改憲の目的は、ただ1点、自衛隊の海外派兵、それも武力行使ができる派兵を認めるということだ。自衛隊が海外派兵を求められる場合、二つのケースが考えられる。一つは、国連決議に基づいて多国籍軍の一員として派兵する湾岸戦争型、もう一つは国連決議がない場合でもアメリカ軍と一緒になって出て行くアフガン、イラク型のケースである。9条改憲前では、この二つのケースのもとで、自衛隊の「武力行使」の程度・制約が次の問題となる。小沢氏はいまのところ国連決議がある場合のみの派兵、「武力行使」の制約はほとんどなしという立場である。しかし、これではアメリカとしては使い勝手が悪い。そこで、考えられるのは、国連決議の有無で縛ってしまわない、「国際貢献のために自衛隊を派遣できる」というようなあいまい戦術である。そして「武力行使」には少しばかりの制約をつける―これが今後予想される両党による自衛隊海外派兵のための恒久法制定に向けた動きである。
どんな形であれ自衛隊の海外派兵恒久法は、「恒久的な憲法違反法」であり、私たちは、新たな解釈改憲の策動に対する警戒と反対するたたかいを大いに強めていかねばならない。

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