プロメテウスの政治経済コラム

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外交機密文書公開   日本の対米従属構造の秘められた“暗黒星雲”

2010-12-22 21:25:27 | 政治経済

外務省は22日、沖縄返還交渉や沖縄への核の持込みを認めた日米間の密約に関連する外交文書などを一般公開した。外交史料館で一般公開されたのは、1972年の沖縄返還交渉などに関連する外交文書のファイル291冊である。外務省が作成・取得から30年を経過した外交文書の原則公開を徹底してから今回で3回目。沖縄関係の機密電報の一部焼却の痕跡が見つかったことで、改めて同省の情報公開に対する消極姿勢が浮き彫りとなった。外交文書の公開制度は75年12月にスタートしたが、外務省の隠蔽体質は根深く、30年公開ルールは事実上、形骸化していた。そのため、岡田克也外相(当時)は今年5月、「外交記録公開に関する規則」を施行。外部有識者を含む「外交記録公開推進委員会」が仕分けし、外相が了承したものを自動公開することになった。

外務省にとって日米外交交渉記録は最大の恥部である(尤も本人たちは恥部だとは思っていないかもしれないが)。「日本の対米従属構造の秘められた“暗黒星雲”」(国際問題研究者・新原昭治氏)のような存在であるからだ。 

 

日本と米国の関係は、多くの国民もうすうす感じているように(沖縄の人々は最初から知っているが)、対等な主権国家どうしの関係ではない。戦後の全面占領下での米軍の基地権(base right)は、旧安保、新安保を貫いて現在まで継続している。米軍の基地権(米政府用語で「ベースライト」)とは、米軍基地の設置の権限や基地の管理権、基地の外での米軍の行動権その他、基地の設置と運営とその内外での米軍の行動の特権全般を指す言葉で、米軍が行使しているさまざまの特権の総称である。日本の場合、それは全面占領中に占領軍の絶対的権力のもとで形成された、ずばり、占領期の勝手放題な権利のことだ。わが国では米政府がこの占領期の基地をめぐる特権を、対日平和条約が発効し、日本が独立国となったあとも旧安保条約のもとで、さらに60年安保改定のあともほとんど制約を受けず保持し続けているそして、「建前」と実態との乖離に対する国民が抱く直観・疑念が反日米安保体制に点火することがないように日米政府は数々の密約を結び、醜い日米同盟の真実を虚飾で覆い隠してきた。問題は、近年の日米軍事一体化と米軍再編の強行、あるいは自衛隊の海外派兵拡大の流れのなかで、日米外交機密・密約が現在進行形でさらに増殖している疑惑である。

 

1972年の沖縄の施政権返還にあたりそれまで米軍全面占領下にあって米軍の専横のままに利用されてきた沖縄では、この特権を虚飾で覆い隠す新たな一連の沖縄密約が結ばれた。米政府は沖縄を含む日本全土での「基地の自由使用」の確保に全力を注いだ。そして、佐藤政権は唯々諾々と密約で保証された基地の自由使用確保にかけた米戦略に協力した

沖縄返還に向けて日米両政府が行った交渉の詳細が今回、外務省が公開した外交文書で分かった。

「朝日」(201012221042分)によれば、交渉終盤の焦点は返還後の基地からの米軍の「自由発進」だった。米側は朝鮮半島や台湾に加え、ベトナムへの出撃にも沖縄の基地を使わせるよう求めた。日本側は「地域は拡張に歩み寄るも、『諾』の意図の表現は出来るだけぼかすの他ないと考へる次第」などと国民の批判の目を懼れている。7月の交渉では、米側が「万一に備え秘密合意の形式について考えてみたい」と密約の検討を提起。2カ月後に下田武三・駐米大使が米側に「秘密文書は絶対に避けることとしたい」としつつ、ベトナム戦争が続く限り「軍事行動の継続を日本側が承認すべきことは当然」。「本年秋の時点において、これを明示することが出来ないというに過ぎない」と伝え、ベトナム出撃を事実上容認した。

 

米軍の基地権(base right)にかかわる密約は、核密約と比べると関心が低いが、アメリカへの軍事的従属構造という点で、最も本質的なものである。そして、戦争依存国家の軍隊に基地の自由使用を認めるということは、核兵器の脅威とは、また別の脅威を日本国民にもたらす。日本の基地からの米軍の自由出撃を認めるということは、日本が、アメリカの交戦国の敵となったということである。ベトナムの日本への反撃はなかったが、イラク、アフガン戦争に加担することは、日本がいつイスラム過激派の攻撃の標的となってもおかしくないということだ。現実にイラクやアフガンでは、支援活動家など日本人が、拉致され、殺害されている。イギリスやスペインでの列車爆破攻撃が日本国内で引き起こされないという保証はない。最近、国際テロの捜査を行う警視庁公安部外事3課の内部資料がインターネット上に流出したが、イスラム系外国人を敵に回してしまった日本の姿を端なくも露呈した
戦争国家アメリカに付き従うことが、日本の国益、すなわち国民の利益になるのだろうか。しっかりとした議論が必要だ


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1 コメント

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childlike (noga)
2010-12-23 10:52:44
日本人には、意思がない。が、恣意 (私意・我儘・身勝手) がある。
英米人は恣意の人を相手にしない。
'Shame on you!' (恥を知れ)と一喝して、それで終わりである。
恣意の人は、子供・アニマルと同等である。

子供・アニマルの状態になるのは、日本人としても恥ずかしいことである。
だから、普段は胸のうちに秘めている。
いずれにしても、腹の底にたまっていて、公言できない内容である。

言葉にするのをはばかられる内容であるから、言外の行動に出る。
それで、本人は、わけのわからぬ暴動を起こす。
この問題に対処するには、本人のリーズン(理性・理由・適当)を理解するのではなくて、周囲の者の察しが必要である。
察しは、他人の勝手な解釈であって、本人の責任とはならない。

その内容を「真意は何か」と言うふうに、本人に問いただすこともある。
言外の内容は、言語を介しては通じにくい。腹を割って話さなくてはならない。
日本人といえども、恣意の内容は公言をはばかられることである。
恣意の実現のためには、赤子になったつもりで、皆の衆に甘えさせてもらうものである。
こうした人情話をするには、是非とも談合が必要である。

英米人は、リーズンを求めている。
英語で答えるときは、リーズナブルな内容を提出しなければならない。
以心伝心・言外の内容などを求めていない。
'Be rational!' (理性的になれ) にも、'Shame on you!'にも意味がある。
日本語の理性には意味はなく、恥も英語の内容とは違ったものになっている。

だから、英文和訳の方法により英米文化を取り入れることは難しい。
日本語による英語教育の振興にも限界がある。


http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812


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