プロメテウスの政治経済コラム

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麻生首相の日本経済「全治3年論」  解散総選挙はいつなのか   

2008-10-26 19:12:04 | 政治経済
「正々堂々と選挙で勝負」と雑誌では勇ましく書いていたのに、いつまでたっても解散しそうにない麻生首相。つべこべ言わずに解散に踏み切ればいいのに、グズグズして先延ばししている間に支持率はドンドン下がり、景気もドンドン悪化する気配だから、優柔不断な首相はますます決断できない。民主党はといえば、補正予算も新テロ法も成立させますのでどうか解散してくださいとお願いするありさまで、まったく頼りにならない。麻生首相は、いまや金融危機に乗じて「景気対策」を解散先送りと選挙逃れの口実に利用するつもりのようだ。行き詰まって野垂れ死にするまで解散しないかもしれない(Today's Gendai メール10月24日)

麻生首相の口癖は、日本経済「全治3年論」である。9月の自民党総裁選で発表した政権政策「日本の底力―強くて明るい日本をつくる―」で、「日本経済はいま、全治3年。短期集中・重点特化型の立て直しをします」と打ち出した。「全治3年論」とはどこかで聞いた標語だと思っていたら、その持論は「故福田赳夫氏(元首相)が掲げた標語である」とのべ、その引き写しであることを自ら明らかにした。故福田氏は、1973年に田中角栄内閣の蔵相に就任したさい、折からの狂乱物価、超インフレ、石油危機が重なる経済情勢のもと「『簡単にはこの混乱状態は治りませんよ。時間がかかりますよ』という意味において『今回は、全治3カ年』と、大胆な言い方をした」のである。麻生流「全治3年論」は、どうか。国民に今後3年間、負担増と暮らしの我慢を求めるところは故福田氏と同じだが、大企業にいっそうの投資減税の大盤振る舞い。大企業優遇という面で、元祖・福田流「日本経済全治3年」論とは大いに異なる(「しんぶん赤旗」10月18日)。

麻生首相の意向を受けて政府・与党は、月内に取りまとめる追加経済対策をめぐり、週明けから詰めの調整を本格化させる予定である。衆院解散・総選挙をにらみ、対策案には住宅ローン減税や中小企業の法人税減免など減税項目が盛り込まれると言う。しかし、いまなぜ大型住宅ローン減税か。
日本経済の根本問題は、この10年間に毎年大企業・大資産家への減税が7兆円に達する一方、庶民への負担増が小泉内閣以降だけでも13兆円にのぼり、労働者の給料総額が9年連続で減少しているという家計部門の落ち込みにある。追加経済政策は、下手な“カンフル剤”ではなく、暮らしが大変なところに負担増、増税を押し付け、もうかって仕方のない大企業には税金をまけてやる―そういう日本経済の体質をこそ改善するものでなければならない(「しんぶん赤旗」9月29日)。

小泉内閣の2002年以来、庶民への増税や社会保険料の引き上げなど直接の負担増に加えて、社会保障給付の切り下げなどの形で、国民に負担増が押しつけられてきた。増税や社会保障改悪が重なることによって、負担増の額は毎年増え、いまでは年間13兆円の規模に達している。02年度から08年度までの7年間に国民に押しつけられた負担増を累計すれば、50兆円近くにもなる。金額が一番大きいのは増税である。06年・07年に実施された所得税・住民税の定率減税の廃止(約3・4兆円)、04年・05年に実施された配偶者特別控除の廃止(0・7兆円)、05~08年に実施された高齢者への増税(0・4兆円)、消費税の免税点の引き下げ(0・6兆円)など、増税額の合計は年間5兆円以上になる。この間、02年と06年の2回にわたって、医療制度の改悪法が強行され、保険料の引き上げにくわえて、サラリーマンの窓口負担が2割から3割に引き上げられ、高齢者の患者負担も増えた。これらの医療改悪による負担増は、年間2兆円近い額になっている。04年に強行された年金法改悪によって、毎年、年金保険料が引き上げられている。保険料は今後も0・7兆円くらいずつ増え続ける(「しんぶん赤旗」10月4日)。

このように、7年間で累計50兆円近い負担を国民に押しつけておいて何が追加経済対策か!公明党の選挙目当ての定額減税に誤魔化されてはいけない。年間13兆円の増税や社会保障改悪をやっておいて、1回限りの数兆円の定額減税をやってもなんの役にもたたないことは明らかだ

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