プロメテウスの政治経済コラム

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福田「背水の陣内閣」発足 自公政権合意  審判を受けた基本路線に反省・変更なし

2007-09-26 18:45:43 | 政治経済
自民党の福田康夫総裁と公明党の太田昭宏代表は9月25日、国会内で会談し、15項目の連立政権の合意を確認した。自公の連立政権合意は、福田氏が自民党の総裁選で示した政権構想とともに、福田政権がこれから何を目指すかの骨格となるものである。
政権合意は「先の参議院選挙で示された民意を真摯に受けとめ、新たな連立政権において若者が希望を持って未来を切り開き、お年寄りが安心して暮らせるくにづくりを進め、国際社会への平和と安定に一層貢献する」という。

若者から「希望」を奪い、お年寄りから「安心」を奪った「構造改革路線は確固として継続」するといいながら、どうして「若者が希望を持って未来を切り開き、お年寄りが安心して暮らせるくにづくり」といえるのか―この矛盾を平気でいっているとすれば、これほど国民をバカにした話はない。
アフガンでのアメリカのテロ報復戦争の本質が何であり、どのような結果をもたらしているかという検証をまったく行わず、海上自衛隊によるインド洋での給油活動継続について「今国会において…可能とするための法整備を行う」ということが「国際社会への平和と安定に一層貢献する」ことに本当につながるのか。思考停止のアメリカいいなりを言葉で誤魔化しているだけではないか!
「名目成長率2%台を達成するための成長戦略を継続させるとともに、財政再建に向けた方針を着実に進める。国際競争力強化のための取り組みを強化する」―多国籍大企業の利益本位の経済財政運営は変えないという。歳入歳出一体改革による社会保障の切捨て、庶民増税、企業減税の基本路線は「継続」するということだ。これがどうして「先の参議院選挙で示された民意を真摯に受けとめ」ることになるのか。精神分裂症でないか!

社会保障分野では、高齢者の医療費負担増や母子家庭に対する児童扶養手当の一部削減について、負担増「凍結」などの部分的見直しを打ち出した。障害者自立支援法も「抜本的な見直しを検討する」とした。しかし、高齢者医療費負担増などは制度自体の抜本的見直しに踏み込んだものではなく、部分的な「凍結」を打ち出しただけである。それでさえ、自民党内から財源を理由に難色を示す声が出され、「早急に結論を得て措置する」との表現にとどまった。高齢者医療をめぐって盛り込まれたのは、来年4月に実施が予定されている70―74歳の窓口負担の二割への引き上げ(現行は一割)の凍結。また、75歳以上を対象にした後期高齢者医療制度では、現在扶養家族になっている約2百万人についてのみ保険料徴収を凍結することを打ち出した(「しんぶん赤旗」9月26日)。75歳以上を一般社会から切り離し、「姥捨山」にプールする制度そのものの凍結は考えてない。

「『政治とカネ』の透明化を進め、政治に対する国民の信頼を取り戻さなければならない」といいながら、具体策として示したのは、政治資金収支報告書の経常経費と政治活動費の一円以上のすべての支出に領収書添付を義務付けるための、政治資金規正法の再改定である。そしもしっかりと逃げを打った。「公開のあり方については、独立した第三者機関の設置など…政党間において協議し、今国会で成案を得ることを目指す」とあいまいにし公開されなければ、疑惑を指摘された政治家が、あれこれ理由をつけて説明責任を果たさずに済ませるというわけだ。これでは、いまと実態はほとんど変わらない。

結局、福田政権がこれから何を目指すかの骨格は、「民意」の反映については、これからの検討項目程度にないがしろにされ、「構造改革」継続と「日米同盟」強化という基本路線が宣言されたということだ。

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