プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

13知事選告示 告示初日に見る二つの象徴的できごと 選挙で政党をどのような基準で選ぶか

2007-03-23 19:15:32 | 政治経済
われわれは一般的に、自己の政治的要求や願いを選挙を通じた政党選択で実現する。
自民党は保守支配層の政治的代理人として、90年代以降「冷戦」終焉とIT革命による経済のグローバリゼーションのもとで、多国籍大企業本位の秩序形成の課題を追求してきた。その主要な任務は、①アメリカに追随し、アメリカと一緒になって世界の警察官として軍事的な分担をおこなうこと、そのための軍事大国化を実現すること ②グローバル市場の拡大にともなう競争激化のなかで、大企業の競争力を拡大し、多国籍大企業本位の社会経済構造をつくるための「新自由主義改革」を推進することである。自民党は、十数年間、かつての開発主義的、利益誘導型ケインズ主義的政党からの脱皮をめざして、ジグザクをくり返してきた。2001年4月に登場した小泉政権は、この二つの課題を大きく「前進」させた。安倍政権は小泉政権の到達点をふまえ、小泉政権がやり残した課題を解決することをその主要な任務として登場した(渡辺治「安倍政権の改憲論のねらいと矛盾」『前衛』2007・4/No.816)。
自民党は、「構造改革」路線の推進のなかで、必然的に伝統的な支持基盤だった中小企業、業界団体などとの関係を自ら壊していくほかなく、巨大企業まるがかえの選挙を大規模に展開するなど、財界への癒着と依存を組織的にもいっそう強めている。

公明党は、選挙カルト集団に支えられながら、支持基盤の崩壊がつづく自民党を組織的に支え、反共の尖兵としての役割を果たしている。支持者に御利益を与えるために、選挙の「実績」づくりと引き換えに、悪法の推進に手を貸すという反国民性と党略性が、この党の特徴である。年金改悪を「百年安心」と宣伝し、その「財源」として「定率減税の廃止および年金課税の見直し」を最初に言いだしたのは公明党であった。定率減税の廃止による増税は中堅サラリーマンを直撃し、年金課税強化はお年寄りへの大増税となった。その意味で、公明党は現在の増税の「戦犯」なのだ。
児童手当の拡大と引き換えに、「防衛省」法と改悪教育基本法の強行に応じたことも忘れられない。

1996年に「さきがけ」にいた鳩山由紀夫氏と菅直人氏を中心に結成された民主党は、「自民党政権に代わる政権党になる」という意識はまだ薄かった。三年前の財界のお膳立てによる民主党と自由党の合流が、それまでの民主党の性格を、いわばもう一つの自民党へと大きく変質させた。小沢代表のもとで民主党がいくら「対立軸」路線をかかげても、中身がしめせないのは、財界による支配システムに組み込まれ、自民党の保険政党以上の政党になれないからである。
社民党は、時に革新的な目標を掲げながらも、改憲の立場を鮮明にしている民主党と選挙協力するなどその立場は常に動揺している。

福祉の充実と暮らしの安定、そのためには、税金のむだ遣いをやめてもらいた、アメリカとともに海外で戦争する国になりたくない、そのために憲法9条を擁護し、平和を守りたい――これがごく普通の国民の願いであり、要求であろう。
ところが支配階級の政治的代理人である自民党、公明党、民主党などの「オール与党」は、一般国民の福祉の充実と暮らしの安定よりも大企業の国際競争力強化のための、インフラ整備、研究開発や工場立地のための補助金、海外利権確保のための軍事力強化を優先する。福祉や教育の充実がコスト負担となるなら、市場原理による「自由」選択に任せ、自律、自己責任の名のもとに貧乏人を切り捨てる。
日本共産党以外、どの党の党首も、東京で第一声をあげることができなかったのはかれらの政治路線の当然の帰結である。東京・神奈川での石原・松沢両氏による相互応援は自民、民主の一心同体、融合状態を誰の目にも分かりやすく示した。

資本主義を前提としながら、「社会的公正と社会的安定」をどう実現するかが、当面の、そして相当長期にわたる選挙の争点である。この課題を一般庶民の立場から首尾一貫遂行できる政党は日本では、日本共産党だけである。資本主義の枠内での改革こそ長期に追及されなければならない課題なのだ。

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