プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

石原知事発案・三宅島オートレース 「東京マラソン」もスポーツ振興とは無縁の単なるイベントだった?

2007-02-24 19:05:08 | 政治経済
日本共産党の清水ひで子都議が昨日(23日)の都議会予算特別委員会で石原都知事発案の三宅島オートバイレースの問題をとりあげた。同レースは2005年1月に石原都知事がイギリスのマン島レースを引き合いに出し、人を呼び寄せるイベントとして打ちあげた。三宅村は島内に実行委員会をたちあげ、島を一周する都道(約30キロ)で125CC級のオートバイレースを計画、11月開催にむけて準備を進めている(「しんぶん赤旗」2007年2月22日)。
同レースをめぐっては島民から「住む家もなく、帰島できない人もいる。村営住宅を増やすのが先」といった反対の声があがっている。大会に協力するライダー関係者の間からも公道でのレースは危険だとの指摘があがっていた。昨日の都議会での清水都議の指摘で、都が昨年実施したテスト走行に参加したプロレーサー3人のうち2人が報告書で危険性を指摘し、公道レースの開催に反対を表明していることが分かった(「しんぶん赤旗」2007年2月24日)。

報告書では、「三宅島公道レースは絶対的に開催すべきではない」「(都の安全対策は)現段階で考えられる危険性をカバーできるものではない」「公道を使用したスピードレースへの賛同はできない」などとのべている。石原知事が視察したマン島の公道レースでも日本人選手が死亡しており、清水氏は、レースに使う道路が三宅島唯一の周回道路で、道幅も六メートルしかなく、マン島より数倍危険だと指摘。「いったん事故の悲劇が起きた場合、島への影響は取り返しのつかないことになる」「安全はお構いなしというのは、あまりに無責任だ」と批判し、レースの中止、再検討を求めた。これに対し、石原知事は「あの島に活力を与えるには、これしか方法がない。これしか活路がない」と同レースをあくまで強行する姿勢を示した(「しんぶん赤旗」同上)。
「一回のイベントが復興の起爆剤になるとは思えない」(共産党の寺本恒夫村議)―イベント屋知事の危険な発想に付き合って、貴重な「災害復興特別交付金」を使って本当にいいのか―三宅村と島民の再検討が求められる。

「東京マラソン」は愛好者からニューヨークのような都市型マラソン大会の開催を望む声が出ていたことは確かだが、スポーツ振興という発想から生まれたものではない。朝日新聞が「東京マラソン 市民の新しいお祭りに」(2月19日社説)というだけで石原知事の意図にまったく触れないのは、ジャーナリズム失格である。
石原知事の意図は、観光客や経済効果を狙ったもので、大型開発のための五輪招致と同じ構図である。あわせて2016年の五輪招致に向けたアピールや石原三選に利用することを狙ったものだ。その証拠に実況した民放テレビに親子で盛んに出ていたではないか(「しんぶん赤旗」2007年2月20日)。

現在、都内の社会体育施設数は、ヨーロッパの諸外国の都市に比べて格段と少ないばかりか、国内でも人口の割合で見ると、47都道府県中、東京は45番目である。東京では、どのスポーツをやるにも場所がない、何ヶ月もまえに申し込んでも抽選で、何倍、何十倍となって場所が確保できない。また、利用料が年々上がっていくという状況である。
オリンピックを言うなら、都の課題は、IOCがかかげるオリンピック原則、すなわち「スポーツを行うことは人権のひとつ」であり、「各個人はスポーツを行う機会をオリンピック精神に則りいかなる差別もなく与えられなければならない」との定めを実現し、住民を主体とした地域スポーツの発展、スポーツ振興の都市づくりをめざすことである(日本共産党・松村友昭都議)。
毎年オリンピック基金を1000億円も積み立てることより、その一部を活用して思い切ったスポーツ施設の整備や振興をやるべきだ。今回の「東京マラソン」についても市民やランナーは、ただ「よかったよかった」ではなく、マラソン大会とスポーツ振興を真に結びつける大会のあり方を考えるべきであろう。イベントを政治家に利用させてはならない。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。