プロメテウスの政治経済コラム

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日ロ領土問題 重大な外交的失態は今に始まったことではない

2018-09-14 20:25:56 | 政治経済

ロシアのウラジオストクで行われた「東方経済フォーラム」(12日)で、プーチン大統領が、安倍晋三首相らを前に、「年末までに前提条件なしで(日ロ)平和条約を結ぼう」と呼びかけたのに対して、首相が反論・異論を唱えなかったことについて、日本政府としては、反論や批判をしてロシアを刺激すれば、交渉全体にさらなる悪影響を及ぼしかねないとの判断があるとみられるが、与野党からは批判の声があがっている。日本共産党の志位和夫委員長は「重大な外交的失態だ。安倍首相に外交を担う資格はない」と手厳しい。

しかし、日ロ領土交渉での重大な外交的失態は今に始まったことではない。1956年10月、鳩山一郎首相とソ連のブルガーニン首相はモスクワで「日ソ共同宣言」に署名した。この際、北方領土をめぐってソ連側は歯舞群島、色丹島の「二島返還」を主張したが、日本側は国後島と択捉島を含む「四島返還」での継続協議を要求して交渉が折り合わなかった。そのため「共同宣言」では「ソ連は歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする」と明記されることになった。

日本側が国後島と択捉島を含む「四島返還」での継続協議を要求したのは、アメリカの当時のダレス国務長官が重光葵外相に対し「二島返還を受諾した場合、アメリカは沖縄を返還しない」という圧力をかけたからである(いわゆる「ダレスの恫喝」)。米国政府が日本に「四島返還論」を指示したのは、日本の要求が当時のソ連には受け入れ不可能と解っていたからであり、四島が千島列島でないと考えたからではなかった。ダレスの狙いは、どの島であろうと日ソ和解を阻止することであった。

プーチン大統領は日本がアメリカの属国であることをよく理解している。「ウラジミール」などと愛想をふりまいたところで、プーチン大統領に、なめられるばかりであり、外交的失態は今後も続くだろう。



 




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