プロメテウスの政治経済コラム

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後期高齢者医療 野党4党 廃止法案 23日参院提出  廃止して国民的議論を

2008-05-21 15:51:14 | 政治経済
民主党、日本共産党、社民党、国民新党の野党4党が、後期高齢者医療制度廃止法案を23日に参院へ共同提出することを決めた。支持率急落に慌てる福田・自公与党は、「姥捨て保険」の2回目の天引きとなる6月中旬までになんとか見直しをなどと言い出しているが、制度自体が問われているときに運用の手直しでは、なんの解決にもならない。新自由主義的「社会保障構造改革」そのものが、国民的論議によって問われなければならない。

野党合意の柱は、「後期高齢者医療制度は一刻も早く廃止を」との国民の声に応え、同制度を最終的に来年4月1日に廃止し、もとの老人保健制度に戻すこと及び、廃止に至るまでの緊急措置となっている。緊急措置としては、(1)被保険者の保険料の速やかな負担軽減(2)年金からの保険料天引きは遅くとも今年10月で中止する(3)被用者保険(サラリーマンの健康保険)の扶養家族(約二百万人)からの新たな保険料徴収についても行わないなどである(「しんぶん赤旗」5月21日)。

後期高齢者医療制度のどこが問題か。堀内光雄・元自民党総務会長が朝日新聞のインタビューに答えている(「朝日」2008年5月21日)。
 ― 福田首相は「制度自体は悪くないが、説明不足だ」とおっしゃったが、「説明不足」ではなく、制度自体が問題。改めないと騒ぎが大きくなる」と申し上げた
― どんどん老人医療費がかさむから、お年寄りには別枠に入ってもらおうというのが、この制度。今ある保険制度は若い人たちだけにして、医療費のかかるお年寄りには出て行ってもらう。保険制度を守るためにあなた方は外に出てください、というのは「姥捨て山」以外の何ものでもない
― リスクを分け合うから「保険」が成り立つ。75歳以上の人だけで医療保険制度を維持しようとしても行き詰る。制度的に欠陥がある
― 数字が合わないから数字を合わせようというのは、仁術ではなく算術の発想。小泉改革の負の遺産だ

後期高齢者医療制度による保険料は、高齢者の人口増によるリスク増とともに青天井で上昇するか、それを抑えようとすれば、医療給付を制限するほかない。どうせ死ぬのだから、早く死んでくれということになる。「全国の老人は一票をもって老人一揆を起こそう」と怒るのは、当然だ。

「構造改革」によるおもな高齢者への増税と社会保障改悪(「しんぶん赤旗」同上)。
2003年4月 受給者の年金額を物価スライドで初めて減額 
       介護保険料引き上げ
2005年1月 所得税の公的年金等控除を縮小、老年者控除廃止
     6月 介護保険改悪法成立    
    10月 障害者自立支援法成立
2006年4月 介護保険料引き上げ 
     6月 住民税の公的年金等控除を縮小、老年者控除廃止、高齢者の非課税限度額廃止
                 医療改悪法成立
2008年4月 後期高齢者医療制度スタート

社会保障全般にわたる国民的需要は21世紀にはますます増大せざるをえない。これは必然的・法則的傾向である。社会保障・福祉ニーズに対し、反福祉国家的対応=新自由主義的対応が何をもたらしつつあるか明らかになってきた。いまこそ国民的論議を興すときである。

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