プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

「マッスルミュージカル」   目に余る団員イジメ

2007-06-17 19:24:06 | 政治経済
「マッスル」の団員五人は現在、舞台に立つことを拒否されている。労働組合をつくったことに対する会社「デジタルナイン」の報復である。現在、劇団の半分は、5月末からアメリカのラスベガスで公演中である。団員がこの公演のことを正式に聞いたのは直前の3月であった。最低でも1年以上日本を離れ、家賃や食費などの滞在費も個人負担という条件であった。会社は、家庭の事情などで「行けない」と答えた団員には一方的に賃金20%~50%減額と全団員に一律3ヶ月の契約期間延長とその間のタダ働きを強要した。納得できないメンバー15人が労組を結成したが、会社側は減額した契約書へのサインと組合脱退を個別に迫った。組合員は5人に減り、就労から排除された。赤旗日曜版記者の那須絹江さんが取材したときには、5人は、民間スポーツクラブの体育館の一角で練習に励んでいた(「しんぶん赤旗 日曜版」同上)。

マッスルミュージカルの約70人の団員はオーディションで選ばれたスポーツ選手や指導員である。「マッスル」には、労災保険もなければ、メンバーの体調管理をするトレーナーもいない会社は出演中に怪我をした団員の給与をカットしたり、アルバイト契約に変更することまでやっていた
「トレーナーがいない状況では、お客の前でベストパフォーマンスはできない」(組合員のShowさん)。「けが対策は個人責任で、団員は自分でテーピングし、マッサージも整体も自費でやっている」(組合員の深澤英之さん)(「しんぶん赤旗 日曜版」同上)。

映演労連フリーユニオン・「マッスルミュージカル」支部は4月27日、マッスルの運営会社であるデジタルナインに団体交渉申し入れ書を送った。しかし会社は組合の電話に出ようともせず、連絡もよこさず、直後から団員に対して大幅カットの契約書に判を捺せ、と連日のように迫った。ある者は自宅に押しかけられたり、呼び出されると上役10名に取り囲まれ、明け方まで契約書の提出を催促されるなど、常識を超えた不法行為が繰り返された。その間、組合は連日のように会社に電話・郵便・FAX・渋谷シアター訪問で抗議したが、不当労働行為がやむことはなかった。そして5月6日、樋口社長は、この間の強要で契約書に泣く泣く判を捺した団員のみを一同に集めると、「組合に入っているであろう方たちには契約書を戻さなかったので、契約の意思がないものと判断し、水曜日の公演から休演というかたちになります」と一方的に宣言した。
5月17日、会社代理人の弁護士(東京六本木法律事務所・竹之下義弘)事務所で、初めての団交が開催されたが、代理人は、組合員に対する就労排除を「他の団員が『組合の人と同じ舞台に立ちたくない』と言っている」という理由を持ち出した。戦後進歩的な労働者が全国の職場から強制的に排除されたレッド・パージのときもこうして一般労働者から分断させられた。そしてラスベガス公演に伴う一方的な賃金減額については、「20%カットの理由は、渋谷マッスルシアターの建設費が予想以上に高額となったため」と経営上の理由を持ち出した。しかし50%カットについては、「理由はないよなぁ」と発言せざるを得なかった(映画・演劇人の労働組合「映演労連」のニュースレター)。

デジタルナインによる不法行為は、「契約内容の一方的不利益変更=賃金減額、契約期間の延長」「組合への不当労働行為=労組脱退強要、就労排除、団体交渉の実質的な拒否」そのものである。
労組委員長の磯前方章(まさあき)さんは「みんながこんなに頑張っているのに、なんで会社はこんな仕打ちをするのか、と許せなかった。たとえ一人になっても解雇されても、たたかおうと決めた」といっている。深澤さんもShowさんも会社からの組合脱退強要に屈する気はない(「しんぶん赤旗 日曜版」同上)。

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