プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

北朝鮮資金送金問題 北朝鮮は初期段階措置の履行を それにしても何でこんなに時間がかかる?!

2007-06-16 19:27:10 | 政治経済

「金融制裁解除に関する我々の立場と要求は最初から一貫している。金融制裁が解除された条件下で初期段階措置に関する2・13合意履行に入ると約束されており、従前のように資金を自由に送金できるようにすることが我々が最初から求めた制裁解除だ」―その是非は6カ国協議の内実がどうだったのかにかかわるが、北朝鮮のロジックは金融制裁解除が6か国協議復帰=非核化の前提という点で一貫している。
北朝鮮のBDA資金は、米財務省が05年9月にBDAを北朝鮮との関連で資金洗浄の疑いが強い金融機関に指定したことを受け、マカオ当局によって52口座2500万ドル(約30億円)が凍結されていた。

この資金がなぜ送金できないか。米財務省は、BDAが資金洗浄(マネーロンダリング)に関与したとして米金融機関と同行との取引を禁止した。ところが、国務省は、北朝鮮口座関連資金の引き出しを認めるという。BDAが口座金額の全額を現金で保有しており、札束を北朝鮮へ持ち運ぶならともかく、米ドルを国際送金しようとすれば、コルレスバンクとして米金融機関の仲介が必要となる。ところが、米銀はBDAとの取引が禁止されており、他国の金融機関もBDAの北朝鮮凍結資金にかかわることは、もし制裁でも受けたら、国際金融システムで多大の悪影響をこうむる。バンコ・デルタは、ドル市場から締め出されている。そんな銀行の発行するドルの小切手もドルの為替も受け取れないのだ。朋友中国の中国銀行でさえも受け入れを拒否した。

こうして国際送金についてさまざまな試行錯誤が試みられたが、先走った国務省と原則論を崩さない(せない)財務省との綱引きのなかで、4ヶ月が経ってしまった
今回の送金ルートは、BDA側によると、北朝鮮資金はまずマカオ金融監督局が指定した口座に送金される。 金融監督局はこの資金をマカオのポルトガル系銀行の大西洋銀行に送る。 ここで北朝鮮資金は電信為替(TT)形態に変わり、米国のニューヨーク連邦準備銀行に伝えられる。 この資金はまたロシア中央銀行に移された後、ロシア極東商業銀行にある朝鮮貿易銀行名義の北朝鮮口座に送金されるということである。
BDAの関係者は「このような送金手続きのため、BDAはすでにカナダドルや日本円など7種類の通貨で預金された北朝鮮資金を最近米ドルに一本化した」と説明している(「中央日報」2007.06.14 19:10:34)。

市中銀行は、米財務省の通達を守らなければ、国際金融システムから、排除される恐れがあるので、結局米国とロシアの中央銀行が乗り出すことになったブッシュ政権内で金融制裁の全面解除を北朝鮮に「約束」した国務省と、部分的解除にとどめたい財務省の間で足並みが揃っていないことの妥協として、ロシアの助けを借りて今回の措置がとられたのであろう。北朝鮮問題だけは任期内に解決して、イラクの汚名を少しでも晴らしたいというブッシュの熱意は理解できる。しかし、どうもこの送金ルートもすんなりと終わりそうにない。

16日付の米紙ワシントン・ポストは、マカオの銀行で凍結されていた北朝鮮資金がニューヨーク連邦準備銀行経由でロシア中央銀行に振り込まれたものの、ロシア政府は米財務省が制裁を科さないとの確約を改めて求め、北朝鮮口座のあるロシア商業銀行への送金を保留していると報じた(時事通信6月16日16時0分配信)。ロシア商業銀行が受け取りに難色を示していることが予想される。 
問題の焦点は、北朝鮮の要求の是非の前に、2月の6カ国協議で北朝鮮に対し金融制裁解除をどの範囲で許したのかということである。凍結資金を受け取っても自由にドル市場で使えないのならば、北朝鮮にとってほとんど意味がない
国際金融システムへの全面復帰ではなく、凍結資金の凍結解除、もう一歩進んで送金だけを限定的に認めただけならば、この問題は、更
にこじれることが予想される。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。