プロメテウスの政治経済コラム

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年金記録の入力作業、全国学力テストの採点業務――官庁仕事の杜撰さをアルバイトが告白

2007-06-18 18:48:57 | 政治経済

「自分のせいではないかと、不安で仕方がない」。社会保険事務所で年金記録の入力作業のアルバイトを経験した45歳の男性はこう打ち明けた。社会保険庁の年金記録問題が報道されるたびに、男性は20年以上前の学生時代のことを思い出す。個人のデータをコンピューターに入力するために書き写す重要な作業。しかし、その実態はずさんだった。机に山積みされた記録を1件1件用紙に書き記した。報酬額、年金番号、名前、住所、誕生日……。10件ほど続けると、細かな字で目が疲れた。漢字をカタカナに変換するため、何度か名前の読みを職員に確認した。職員は面倒くさそうに「思い当たるのを書いておいて。多少違っても、年金番号で一致するから」と言った。当時、「穐」という字が「あき」と読めなかった。「穐澤」という名前に「カメザワ」と記したことが今でも忘れられない(Asahi.com 2007年06月17日17時30分)。
当時の事情を知る社保庁の職員もアルバイトを使ったずさんな入力作業を認めている。85年以降にオンライン化されるが、その前は、夏になると大量の記録を整理するため、事務所によって5~10人のアルバイト学生が集められ、ほぼ1カ月間、手作業による事務処理が行われた。作業は、会社から送られた社員の報酬額などの記録を個人単位の用紙に書き写すこと。その用紙は各事務所から社保庁に集められ、コンピューターに入力された。性別の違いや前回の記録との重複などをコンピューターで確認。不都合があった場合には「事故記録」として元の事務所に戻った。事務所には毎年、事故記録のリストが束状になって戻されてきた。だが、確認作業に時間がかかることから、処理されないまま放置されることもあったという。これらが、5千万件にのぼる「宙に浮いた」記録の一部になっている可能性もあるというのだ(Asahi.com同上)。
誰も国民の将来の年金受給金額を左右する記録管理を重大問題だと考えていない。

文部科学省が4月に実施した全国いっせい学力テストの採点業務に携わっている派遣労働者から、「採点の基準がころころ変わり、混乱している」「こんなやり方ではまともなデータはとれない」との告発が日本共産党や赤旗編集局に寄せられている(「しんぶん赤旗」6月16日)。
告発を寄せているのは介護事業で不正が明らかになったコムスンの親会社でもある、グッドウィル・グループの派遣会社から全国学力テストの中学3年生分の採点業務に派遣されている人たち。この業務は文科省がNTTデータと教育測定研究所(旺文社の子会社)に業務委託しているものである。
業務に携わっている人たちの話によると、採点は都内の二つの会場で行われ、採点者はグッドウィルなど複数の会社からの派遣されている。国語の採点をしている男性は「記述式の問題では多種多様な答えが次々と出てきます。そのたびにリーダーに尋ねるため、採点はなかなか進まない。以前は不正解だった答えが正解になったり、逆に正解だったものが不正解になったりしています。でも、以前に採点した分をやり直しているようすはありません」と語っている。数学の採点をしている男性は採点用のパソコンソフトにも問題があるという。「クリックする部分が小さく、しかも無回答と正解とがすぐ近くにあるので間違えやすい。間違えたまま気づかないケースもかなりあるのではないか」「文科省の仕事だというのできちんとしたものだと思ったが、働かせ方も採点のやり方も極めていいかげん。何十億円という予算をかけておいて、このようなことでいいのかと思う」「このようないい加減なやり方では、まともなデータはとれない」(「しんぶん赤旗」同上)。
こんなずさんなテスト採点結果を、各教育委員会や学校に突きつけ競争に駆り立てておいて、お前のところの成績は悪いといじめるネタにしようというのだ。誰も子どもの学力向上のことなど、はもはや念頭にない。


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