プロメテウスの政治経済コラム

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09年度予算案  いよいよ動き出した「米軍再編」経費負担

2008-12-29 20:08:44 | 政治経済

政府は24日の閣議で2009年度予算案を決定した。09年度予算案と08年度第2次補正予算案は、ともに年明けの通常国会に提出される。景気・雇用の急速な悪化で国民生活防衛のために、いまこそ「大砲かバターか」の対決が問われるなかで、アメリカの国益防衛のために超思いやり=グアム移転費・「米軍再編」経費の負担が激増している。「百年に一度の経済危機」(麻生首相)といいながら、米軍天国をこのままにしておいてよいのか!日本の政治は誰のものなのか!

いよいよ米領グアムの米海兵隊の新基地建設費が日本の予算に初計上された。失業や所得減による国民の苦境をよそに、総額三兆円を超える「米軍再編」計画(ロードマップ)に日本自らが本格的に着手しようとするものだ。
ゲーツ米国防長官は、今年6月に開かれた「アジア安保会議」で「グアムでは、同盟国である日本からの有難い支援を得て、我々は空軍、海軍、海兵隊の軍事力を増大させて、あらたな緊急事態へ対応できる能力を整える」のだと語った。「沖縄の負担軽減」が再編を考えるきっかけとなったかもしれないが、海兵隊司令部の沖縄からの移転は、「沖縄の負担軽減」とはなんの関係もなく、米軍が新たな戦争戦略に対応して4軍が揃う軍事基地を建設する計画に日本の金をせびるものなのだ。
日本政府は、グアムの海兵隊は「日本防衛の任務をもっている」ので負担してもかまないという。こんな理屈が通るなら、米本土の基地の増強費まで日本が負担してもおかしくないということになる。まさにアメリカの属国、51番目の州ということだ

09年度予算案では、グアム新基地建設関係で、346億円が計上された(今年度は調査費4億円)。米軍司令部や隊舎建設のための土地造成費がその主な内容である。日米最終合意では、日本側は、家族住宅1万人分、司令部棟、隊舎、学校、託児所の建設、上下水道、電力、ゴミ処理場などのインフラ整備の負担に応じている。日本側の負担割合は約6割ということで合意しているが、最近、米会計検査院(GAO)が移転費の総額が150億ドルと合意時点の1・5倍になる見込みとしている。346億円が終わってみれば、何千億円になっていることか。対米交渉をしっかり出来る政府に早く取り替えないと大変なことになりそうだ

「米軍再編」経費負担は、グアム基地増強拡大工事だけではない。日本国内の米軍基地増強工事費も、明示されない限り日本側の負担である。金融危機の震源地となり、銀行、証券、保険や民間大企業の救済に四苦八苦している米政府が、すべてを日本政府に押し付けてくることは、目に見えている。
沖縄・名護での新基地建設は、県民の反対で環境アセスが遅れ気味で、09年度予算に埋立て工事費そのものの計上は見送られたが、護岸工事など94億円が計上された。ジュゴンがすむ美しい海を守れという国際世論に敵対してでも米国に奉仕しようとするものだ
そのほか、座間への米陸軍司令部への移転・改編、岩国への空母艦載機移転、自衛隊基地への米戦闘機訓練の移転関係が、それぞれ数十億円規模で計上されている。すべて、単なる移転(リロケーション)ではなく、なんらかの増強が企図されている

「米軍再編」は基地強化であるからそのままでは地元の反対は必至である。政府は、住民を金で買収して黙らせるために「米軍再編交付金」を用意した。「再編」を飲んだ段階ごとに進捗に応じて札束を見せることにしている。09年度は、91億円(08年度61億円)を用意した。

大抵の国民は、社会保障費をはじめ国民生活予算の削減をしてまで、なんで「米軍再編」のような無駄使いをするのかと思うだろうところが、これを喜んでいる勢力がいる。アメリカ国民は、本来自分たちが負担すべきものを日本国民に転嫁できたのだから喜ばしいことである。もう一つの勢力は、日米のゼネコンや商社などである。その目的がなんであろうが、公共工事量が減っているときに、防衛省の仕事は、利益率もいいし、回収も確実であり、こんな有難いことはない。
グアムの先住民チャモロ人や一般住民はどうか。基地増強によって5万人くらい米軍関係者が増えるから、サービス提供の雇用創出効果があるかもしれないが、インフラ整備は基地内だけの話であり、軍の占領状態が強化される わけだから、基地公害が増えることは間違いない。


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