プロメテウスの政治経済コラム

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イスラエルのガザ空爆  国際社会はいつまでイスラエルの無法を黙認するのか

2008-12-28 20:42:05 | 政治経済
パレスチナ自治区ガザに対するイスラエル軍の27日の大規模な空爆によって、多数の死傷者がでている。ロイターによれば、少なくとも229人が死亡、700人以上が負傷した。空爆は同日夜になっても続き、死傷者はさらに増える可能性もあるという(ロイター2008年 12月 28日 09:49 )。ユダヤ国家は、パレスチナ人に対し民族浄化をしても、あるいはパレスチナ人に対してどんな好き勝手をしても、国際社会からの批判を免れることができると思っているのだろうか。60年にわたるイスラエルの傍若無人を許しているのは、建国当初からのユダヤ国家への国際社会の「寛容」な姿勢である

ロイター通信によると、イスラエルの攻撃による一日の犠牲者数としては1980年代の第1次インティファーダ以降最多という。カタールの衛星テレビ・アルジャジーラによると、空爆は、イスラム武装抵抗組織ハマスの拠点を中心に、警察署や住宅地、職場から帰宅する住民、学校から帰宅する子どもに対しても行われた。アルジャジーラのテレビ映像では、各所で遺体が散乱し、救急車だけでは足りず、市民も動員して死傷者を運ぶ生々しい様子が放映された(「しんぶん赤旗」2008年12月28日)。

イスラエルは、07年6月にハマスがガザ地区を実効支配して以降、同地区を陸からも、海側からも封鎖して断続的に武力を行使してきた。エジプト政府の仲介で08年6月、停戦に合意したが、数日間で封鎖を全面解除するという約束を反故にして封鎖を継続し、パレスチナ住民を困窮状態に陥れた。
ハマスのバルフーム報道官は、イスラエルの行為を「虐殺行為だ」と非難。パレスチナ自治政府は声明で、イスラエルの行為を、あらゆる手段を講じてこれを阻止すると宣言。国際社会にも協力を訴えた。

しかし、国際社会の反応は冷たい。アメリカのライス国務長官は、イスラエルとともに開き直っている。イスラエル軍による空爆について、「ガザにおける停戦違反と暴力の再燃は、(ガザ地区を実効支配しているイスラム原理主義組織)ハマスに責任がある」とし、ハマスを強く非難した。盗人猛々しいとは、このことだ。先住民を虐殺し、蹴散らしたうえで「建国」したという意味では米国もユダヤ国家も変わらない。彼らヨーロッパ西洋からみれば、ユダヤ国家は、先住民であるパレスチナ人に対し民族浄化をしても、あるいはパレスチナ人に対してどんな好き勝手をしても許されるということらしい

パレスチナは、パレスチナ人が先住民として長年にわたって豊穣な生活を育んできた土地であり、ユダヤ人の入植は、シオニズムという植民地支配であった。ヨーロッパ人がヨーロッパを出て非ヨーロッパ世界に定住したのは、アメリカ、豪州、カナダなどの例をだすまでもなく、パレスチナだけではない。「ユダヤ人は、すでに他の者が暮らしていた土地を唯一の安住の地と決めたことで、植民化計画に進んでいった」(イラン・パペ)のだ。

1947年11月29日に採択された国連総会決議181号(パレスチナ分割決議)は、パレスチナ人にとって最初から不当なものであった。パレスチナ分割決議は、「自決の原則の尊重」を無視して、イギリス委任統治下のパレスチナを①ユダヤ人国家、②アラブ人国家、③国際管理地域の3つに分割することを決めた。土地の分割に関しては、パレスチナの総人口の7割を占めるアラブ人、すなわちパレスチナ人からなるアラブ人国家が43%、人口の3割を占めるユダヤ人からなるユダヤ人国家が56%を割り当てられていた。国連を中心とする国際社会は、民族自決権の問題のみならず、土地の分配に関しても不公平な「解決」をパレスチナ人に押し付けたのである。

パレスチナ分割決議が採択されると、シオニスト軍はユダヤ人国家に割り当てられた土地のみならず、さらにその領土を拡大するために、次々とパレスチナ人を追放しては、土地を奪い、囲い込んできた。故郷を失ったパレスチナ人は、豊穣な故郷の記憶とともに帰還する日を夢見ながら、シリアやレバノンなどで難民としての生活を送ることを余儀なくされることになった。

「対テロ」の論理で、イスラエルのパレスチナ攻撃を正当化することは正しくない。パレスチナの土着的な抵抗運動は、故郷をもたないアルカイダのようなテロ組織とは明らかに違う。私たちは、パレスチナ人の存在や命を軽視する「西洋」を中心とする国際社会のアラブ人に対するレイシズムに毒されてはならない


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