プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

首相新提案  衆院再議決のための悪あがき もはや民意を問うほかない

2008-03-28 18:42:50 | 政治経済

年度末の時間切れが迫っているにもかかわらず、歳入・税制関連法案が参院で審議に入れない状況にあることから、福田首相は27日、緊急記者会見し、道路特定財源などについて新たな修正案を提示した。目玉は、特定財源は08年度をもって廃止し、09年度からは一般財源とするということ。しかし、思い起こせば、そもそも一般財源化は小泉元首相が掲げた旗だった(「朝日」3月28日)。利益誘導型ケインズ主義の旧い自民党が構造「改革」の新しい自民党に脱皮する重要なステップであった。党内の抵抗勢力との力関係を考えて、小泉にできなかったことが、福田にできるとはとても思えない。自民党を熟知する民主党・小沢代表が首相新提案を一蹴したのは当然であった

年度末まであと4日というぎりぎりのタイミングで、福田首相が悪あがきを見せた。本年度は、政府税制法案を何とか成立させてくれ、そうしたら(1)道路関連公益法人や道路整備特別会計関連支出の徹底的な無駄の排除 (2)道路特定財源制度は今年の税制抜本改正時に廃止し、09年度から一般財源化(3) 暫定税率分も含めた税率は、環境問題への国際的な取り組み、地方の道路整備の必要性、国・地方の厳しい財政状況を踏まえて検討(4)道路の中期計画は5年として新たに策定するなどである。

首相が、道路特定財源について、2009年度から一般財源化することを明言したことは、一定の前進と評価する向きもある。しかし、一連の新提案について与党内の正式の手続きをとったわけでもない。「おおむね了解されていると理解している」という程度の話しなのだ。党内の道路族議員が一般財源化にさまざまな条件を付けてくることは当然に予想される。「一般財源化するというのであれば、08年度からただちにやるべきだ」(共産党・市田書記局長)。

また、首相は道路特定財源と不可分の関係にある、道路中期計画の期間を、10年間から5年間にするとしているが、総額59兆円もの道路中期計画の積算根拠に見られるように期間が5年間であろうと、10年間であろうと、道路特定財源を当てにした総額先にありきというところが問題なのだ。公共事業は、効果・必要性に応じて案件ごとに吟味するものであって、道路中期計画は撤回すると言ってはじめて一般財源化の意味もある。こと此処にいたってなお、党内の道路族を気にしているようでは、一般財源化の言明もどこまで信用できるのか。「道路中期計画を撤回するという立場に立つべきだ」(共産党・市田書記局長)。もっとも今の福田首相にそのような求心力があるとも思えないが・・・。

福田首相・自公与党の腹は、憲法59条の60日条項が使える4月29日以降の政府税制法案の再議決である。政権運営が行き詰ると衆院の「与党三分の二」議席で何でも済ませようとする。国民生活に混乱をもたらすとかなんとか言いながら、道路特定財源を除く税制改正関連法案の日切れについて暫定税率の期限を4月末まで1カ月延長する「つなぎ法案」を提案したことをみても4月末での再議決の腹が見え見えである。
衆参両院のねじれを郵政民営化の「与党三分の二」議席で済ますのなら、国会はいらない。
 いまこそ「ねじれ国会」を民意によって正すときである。解散・総選挙で決着をつける以外にいまの「行き詰まり立ち往生状況」の打開の道はない。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。