プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

年の瀬に派遣“大量首切り” 多国籍大企業に社会的責任を果たさせるためにはどうすればよいか

2008-11-22 20:56:05 | 政治経済
世界市場の収縮を前にして、構造改革でこれまで散々好い目を見てきた多国籍大企業が、先頭に立って労働者を大量解雇しようとしている。いすゞ自動車などは、契約期間が残っていても非正規全員を12月末で解雇するという。いすゞは減産を理由にしているが、営業・経常利益ともに6百億円(連結決算)を見込み、株主配当も前期より一円増すという。雇用を維持する十分な体力がありながら全員を解雇するというのは、まったく道理がない。税金をまけてもらい、派遣労働者や期間労働者を好きなように使ってきた多国籍大企業は、不況が深刻化する今こそ社会的責任を果たすときである。資本の論理からそんなことができないというのであれば、社会的法規制を強めるほかない。

調子のいいときは、ばくちに走り、散々好い目をした挙句に、調子がおかしくなると、資本主義社会のシステムが崩壊するといって泣きつく代表は、金融機関である。日ごろはその公的役割を忘れ、高い報酬をもらい、社用で贅沢三昧をしておいて、左前になるとシステム危機の脅しをかけて公的資金の投入を要求する。アメリカでは7000億ドル(約70兆円)もの公的資金を金融機関に投入する金融安定化法が10月3日、成立した。なんで税金でウォール(金融)街の失敗を救済しなければならないのか。米国民は怒ったが、金融市場が大混乱に陥るという脅しには勝てなかった。日本でも、金融機関に公的資金を投入するための新金融機能強化法(修正)案が現在国会審議中である。1996年の住専処理以来、46兆円を超える公的資金を金融機関に投入し、10兆円以上の国民負担を発生させた結果はどうであったか。3兆2千億が注ぎ込まれた日本長期信用銀行は、リップルウッドにわずか10億円で売り飛ばされた。政府の不良債権の早期最終処理の掛け声に合わせて、銀行は貸し渋り、貸しはがしに走り、国民の負担と労働者、中小企業の犠牲のうえに「三大メガバンク」を生き返らせただけだった。彼らは、「失敗しても最後は税金で救ってくれる」と思うだけで、社会の公器としての責任を果たす気持ちなどさらさらない。

米国では、GMとフォード・モーター、クライスラーの米大手3社「ビッグ3」まで、米政府・議会への資金支援の働きかけを強めている。米自動車業界の救済法案を審議していた米議会は20日、大手3社に対する計250億ドル(約2兆3千億円)の緊急融資をめぐり、法案の採決を来月に先送りすることを決めた。上院のリード院内総務は、公聴会に出席した各社の経営幹部らが、「ワシントンに会社専用のジェット機で来るなど、(納税者の)米国人たちの支持が得られるようなメッセージを送れなかった」と批判している。
現代の大企業は、多くの利害関係者に取り囲まれた社会的存在である。決して株主だけのものでない。しかし、企業の経営者にはその自覚はない。なぜなら資本主義企業の経営者は自己増殖する価値である資本の人格化であるからである。価値としての資本は量的に増殖すること以外に関心はない。その人格化である経営者も年の瀬に“クビ”になって寮を追い出される若者がどんな目に遭うかには関心をもたない。労働者は、可変資本、搾取材料(モノ)であってその限りでは、人間ではないからである。

トヨタ、日産、マツダ、いすゞなどの自動車業界、シャープなどの電気機械業界は、いま競って大量首切り計画を進めている。派遣・期間工などの非正規労働者が「調整弁」として最大限に利用されているのだ。
共産党議員団などが、各企業に対し、「人間を景気の『調整弁』のように使い捨てにしていいのか」、「このままでは失業者があふれる日本になる」と大企業の社会的責任を果たすよう申し入れ活動を活発におこなっている。しかし、いまの派遣法のもとでは、契約期間を終了した労働者の契約延長を強制することは難しい。規制緩和が推し進められた後での「企業に対する指導と監督の強化」には自ずから限界がある。大企業が資本の論理だけで社会的責任を果たさないのであれば、果たすように法律で規制するほかない

「ルールなき資本主義からルールある経済社会へ」である。どのようなルールが効果的であるかは、各国の先進的な事例も参考にしながら、民主的討議を通じて設定していくことになる。財界はあらゆる政治的手段を使って抵抗するであろう。財界の抵抗を封じるためには、国民の世論が国会の多数を占めるようにしなければならない。幸い、日本にはどんな弾圧にも屈しない日本共産党が存在する。主権者である国民が一票を共産党に投じれば、日本の政治を大きく国民の側に変革する第一歩を踏み出せるのだ

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