プロメテウスの政治経済コラム

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オスプレイ配備“ノー”  人びとの声が歴史を変える  安保、そして反原発

2012-07-01 20:33:25 | 政治経済

森本敏防衛相は1日午前、沖縄県庁で仲井真弘多知事と面談し、米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを米軍普天間飛行場に配備する米側の計画を説明した。仲井真知事は面談後、記者団に「配備を強行したら、全基地即時閉鎖という動きに行かざるを得ない」と強く日米両政府を非難した(「琉球新報」7月1日11時30分配信)。沖縄県民のオスプレイ配備“ノー”の声はハッキリしている。日本政府は、オスプレイの飛行の是非について「日本政府に条約上のマンデート(mandate=権限)はない」(森本防衛相)という立場である。米国が、「日米安保条約上の権利」だと主張すれば、日本国民の意思とは無関係に、米軍はみずからの戦略に沿って、いかなる部隊・装備も自由に配備して、日本全土で自由に運用できるというのが、これまでの歴史であった。日米両政府は、沖縄県民の声を圧殺して、今回も、この歴史を繰り返すつもりだろうか。

私は、人びとの声を圧殺して、これまでの歴史を繰り返すことは、首相官邸前の原発再稼働ノーのデモを見ても、もはや限界に近づきつつあると思う

 

米軍がなんと取り繕うとも、沖縄県民は、オスプレイが欠陥機であることを知っている。県民は頭上に、いつ墜落するか分からないものを絶えず抱えることになる。この切実な不安を受け止めず、恐怖を強制することに人として当たり前の抗議の声を上げているのである。知事は「配備強行なら全基地即時閉鎖」だと怒りの声をあげたという。日米両政府がオスプレイ配備を強行すれば、「安保の是非」を問題にせざるをえないということだ。

1952年4月に発効した旧安保条約は第1条で「日本は国内へのアメリカ軍駐留の権利を与える」と明記。占領軍としての米軍の特権を継続する意思を明確にした。これに対して、保守層からも「不平等条約だ」との声が高まり、60年に改定された現行安保条約では、米軍の部隊・装備の「重要な変更」の場合、「事前協議」を行うことになった。しかし、これが「建前」にすぎないことは、事前協議が一度も行われたことがないことからも明らかである。オスプレイ配備は、米軍の部隊・装備の「重要な変更」ではないというわけだ。

 

6月29日、「再稼働反対」の熱気が首相官邸を包んだ。大飯原発3号機の起動が7月1日に予定されるなか、29日におこなわれた「原発再稼働決定を撤回せよ」官邸前抗議行動は、関東だけでなく北海道、岩手、福島、福井、長野、愛知、佐賀、長崎などからも自主的に人びとが集まり、主催者は約20万人が参加したと発表した。毎週末の金曜日夜、首相官邸を取り巻くデモは、勤め帰りの会社員や主婦、若者らがツイッターなどでの呼びかけにこたえて三々五々集まり、官邸に向かって「原発再稼働はやめよ」「原発なくせ」「野田やめろ」のコールを行う。最初は数百人だったのが、野田首相が関電大飯原発の再稼働を決めるとともに参加者は数千人、1万人余と膨らみ、6月22日には4万5千人、そして、29日にはついに約20万人に達した。最初参加者は歩道に並んでいたが、続々と集まる人の群れで歩道は限界に達し、遂に車道にまで広がっていった。警察も黙認、官邸前・国会脇の大通りは完全に「解放区」となった。安保闘争時とは明らかに事情が違っている。

首相官邸だけでなく、デモは、関西電力がある大阪など全国各地に広がり、6月24日には野田首相の地元、千葉県船橋市でも行われた。人呼んで「紫陽花(あじさい)革命」だ。

 

何をするにも誰かの指示がないと動けない。自分の状態が悪いのは世の中が悪いからだと諦める。これが、これまでの一般的日本人の行動パターンだった。しかしそんなことは、世界では通用しない。「間違っている」と思うなら一人でも意見を言うべきだ。世界の常識は、自分の道は自分で切り開くということだ。

人びとの声が歴史を変えるのだ。


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