プロメテウスの政治経済コラム

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イスラエル地上軍 ガザ侵攻 ユダヤ人によるパレスチナ人アパルトヘイトを許すな!

2009-01-04 18:29:22 | 政治経済
12月27日に始まったイスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザに対する空爆でパレスチナ人に多大な犠牲が出ている。ところが、イスラエルは、ガザの完全制圧を目指して3日夜(日本時間4日未明)、地上侵攻を開始した。05年のイスラエルのガザ撤退以来、模索されていた和平への道は、これで完全に閉ざされた。
イスラエルは、アラブ諸国に取り囲まれ、パレスチナ植民地支配を続ける不安に慄きながら、暴力でしかパレスチナ人を抑えられない。米国を先頭とするヨーロッパ諸国の後押しが唯一の頼りであるが、欧米の力が落ち、アラブ諸国がパレスチナ人支援に立ち上がるまで、パレスチナ人がユダヤによるアパルトヘイトに苦しまねばならない日々が続くとすると、余りにも悲しい。

パレスチナとユダヤの対立の原因を、人種や宗教、旧約聖書の「お話」に求めるのは正しくない。パレスチナの土地を暴力で奪ったユダヤ人が、自分たちの行為の正当化として、旧約聖書の「お話」を利用しているだけだからである。20世紀の初めまで、パレスチナでアラブ人とユダヤ人の紛争などなかった。みんな平穏に暮らしていたのだ。現在の紛争の起源は、ユダヤ人のシオニズム運動を帝国主義支配に利用しようとした英仏などの帝国主義・植民地主義に後押しされたヨーロッパのユダヤ人が、ユダヤ人多数の国家を建設するためにパレスチナのアラブ人を暴力的に追い出し、エグザイル(故国喪失)状態に陥れて以来のことである。パレスチナは、パレスチナ人が先住民として長年にわたって豊穣な生活を育んできた土地であり、シオニストが言うような「土地なき民に、民なき土地」を実現できる場所ではなかった。明らかに先住民を駆逐する植民地化のための侵略であった。パレスチナ人の抵抗運動は、先住民にたいする植民地主義者の侵略にたいする抵抗であり、武力のレベルが余りにも不均衡であるための「自爆」攻撃(単なる「テロ」ではない)なのだ。

イスラエルが12月27日にガザを空爆し始めた時、イスラエルは前日にハマスと結んでいた48時間の停戦協定を破って空爆した。ハマスは、停戦期間中だったのでイスラエルの空爆を予測しておらず、無防備に集会を開いており、そこを空爆されて多くの死者が出た(田中宇の国際ニュース解説「ガザ・中東大戦争の瀬戸際」2009年1月3日)。
植民地支配者であるユダヤは、常にアラブの抵抗運動に怯えざるをえない。いくら、旧約聖書でユダヤ人に約束された土地だというような「お話」を持ち出しても、20世紀の初めに先住民のパレスチナ・アラブ人を暴力的に排除して強引に自分たちの国家を「建設」した事実は、消せないからである。だから、常にアラブを武力攻撃することによってしか自国の存在を維持出来ない宿命にある。それを助けているのが、米国を先頭とするヨーロッパ諸国である。ヨーロッパにおいて解決不可能だと思っていたユダヤ人問題を「解決」するために、パレスチナ人を難民化し、無国籍者・無権利者化することを後押ししたのである。ユダヤ人を再び欧米で受け入れることがいやなら、イスラエルの存続を願うほかない。その背後にあるのは、ホロコーストに対する贖罪意識だけではなく、パレスチナ人の存在や命を軽視する「西洋」社会のアラブ人に対するレイシズムである。

常にアラブの抵抗運動に怯えざるをえない無限アリ地獄から逃れるために、イスラエルのシャロン前首相は、02年にヨルダン川西岸との境界に隔離壁を建設する計画を開始し、05年秋にはガザからイスラエル軍と入植者を撤退させ、パレスチナとの間を隔離し、この状態でのイスラエルの保全を図ろうとした。ガザをエジプトと、西岸をヨルダンとつなげ、アラブ諸国にパレスチナの面倒をみさせ、イスラエルは隔離壁を作ってパレスチナと縁を切るという案である。このシャロン案の前提は、西岸とガザにPLO主流派(ファタハ)による親米・親イスラエルのパレスチナ国家ができれば、パレスチナ人の抵抗がおさまり、2国並立方式による中東和平が可能ではないかというものである。しかし、もはやそれに戻ることも無理だろう。イスラエル地上軍のガザ侵攻によって、ガザはシャロン以前のように、再びイスラエルによって完全に占領支配されることになるだろう。そうなると、和平の話し合いなど成立はずもない。ユダヤ人によるアパルトヘイトに対し、パレスチナ人はゲリラ作戦による抵抗を続けるだろうハマスを武力で潰すことはできない。ガザの150万人のパレスチナ人は、イスラエルに封じ込められている限り、ハマスと一心同体であり、ハマスの現幹部を殺害しても、別の人々が幹部になるだけだからである。

心配なことは、イスラエルのガザ侵略がエジプトとの間のラファ国境を越えて、エジプトに飛び火し、イスラエル対アラブの全面対決になることである。国連の和平仲介が俟たれるところであるが、残念なことに、国連が米国を先頭とするヨーロッパ諸国に牛耳られている現状では、パレスチナの正義を実現することは非常に難しい。我々にできることは、パレスチナ人への連帯の声を諦めずに、あげ続けることでる

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