プロメテウスの政治経済コラム

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金正恩の人民会議施政演説  今朝の毎日新聞社説の低能ぶりには驚いた

2019-04-16 18:30:57 | 政治経済

今朝(2019年4月16日)の毎日新聞社説が「金正恩氏の施政演説 旧態依然の発想のままだ」と題して、金委員長の最高人民会議14期1次会議の施政演説を論評している。しかし、その内容のお粗末さ、低能振りには驚いた。日本の全国紙の論説委員は、この程度の低能で務まるのであろうか。読者も舐められたものだ。朝鮮問題を少しでも勉強したとはとても思えない。

シンガポール米朝首脳会談での枠組み合意の意味、そしてハノイ会談での破談の意味を少しでも調べたら、とてもこのような論説とはならない。曰く、「今回の演説では『我々の核武装力の急速な発展という現実に恐れを感じた米国が会談に出てきた』」とまで述べた。 これは、当面核は手放さないということではないか。だとすれば、旧態依然とした発想のままだ。金氏は『年内は米国の決断を待つ』」と述べた。来年11月には米国で大統領選がある。それより前に、米側と関係改善を図りたいという思惑があるのだろう。対話を続ける考えを表明したことは幸いだが、協議に当たり方針転換すべきなのは北朝鮮側だ。」

これでは、なぜシンガポール米朝会談があり、なぜハノイ会談が破談に至ったかは何もわからない。もしも、シンガポール会談は、北朝鮮が経済制裁に音を上げて和平を求めたと考えているなら、出発点が間違っている。トランプが会談することになったのは、2017年11月29日、火星15型弾道ミサイル(ICBM)が発射実験に成功し、北朝鮮が「国家核武力」を完成したからである。ハノイ会談が破談したのは、米国がシンガポールでは米朝関係の改善、朝鮮半島の平和構築を約束しながら、これを前に進めるのではなく、またぞろ「先・武装解除、制裁継続/後・体制転覆」の「リビアモデル」を「ビックディール」として持ち出してきたからである。

ハノイでトランプ大統領は、アメリカ帝国主義の作法にもどって、「ビックディール」を云々して「リビアモデル」を強要してきた。トランプ大統領は、ハノイ会談で、「金正恩委員長に『あなたは合意(deal)のための準備ができていない』と言って席を離れた」と自慢げに述べているが、どうも勘違いしているようだ。北朝鮮ははじめから「リビア方式」を受け入れる考えはまったくない。去る3月15日、崔善姫外務次官は、記者会見を開き「ビックディール」を持ち出した「米国といかなる妥協もするつもりはないし、今回のような交渉は尚更行う意欲も計画もない」と述べた。

「リビアモデル」はボルトン補佐官がブッシュ政権時代にも提案し、結局、北朝鮮は凍結してきたプルトニウムプログラムを再稼動させた。米政権が「リビアモデル」にこだわるのは、経済的圧迫で北朝鮮を追い詰めればレイキャビク(ソ連崩壊、ベルリンの壁崩壊)を再現できると考えているからである。北朝鮮にとっては、これ(リビアモデル)は外交ではなく、単なる降伏要求あり、このような戦術は北朝鮮には通じない。古ぼけた「リビアモデル」を「ビックディール」という新しい言葉で化粧しなおしても北朝鮮に馬鹿にされるだけだ。

トランプ大統領とって、実現する可能性がないレイキャビクの再現ではなく、自らがサインしたシンガポール共同声明に立ち返り、米朝関係を改善し、朝鮮戦争を終わらせ、朝鮮半島を非核化するのが、ノーベル平和賞への道だ。「毎日」社説の「協議に当たり方針転換すべきなのは北朝鮮側だ」というのは、愚かにも、全く真逆である。方針転換すべきなのは、トランプ政権側なのだ。それを北朝鮮は、年内は、待ってみましょうというわけだ。

 

 


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